紙で残さなくてもいい本は電子化するという気づき

本棚5台を1台に減らせたわけ
本棚5台を1台に減らせたわけ
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以前は、本は紙で持ってナンボだと思っていました。紙の方が目が疲れないし、ページをめくる指先の感覚が好きだし、なにより電子書籍という「未知のものへの反発」がありました。よくわからないから怖い、という感覚。

本の片づけに着手した2015年、書籍『ぼくたちにもうモノは必要ない』をちょうど執筆中だった佐々木典士さんと整理についてお話する機会がありました。
かつては廊下いっぱいの本棚に大量の本を積み上げていたという佐々木さん。読み返したいと思ったものに関しては、裁断してスキャンしデータ化する「自炊」をして、残りは本棚の本をまるごと古本屋に引き取ってもらう形ですべての本を手放したとお話されていました。

佐々木さんは当時、出版社で編集のお仕事をしていました。出版社の方がごっそり紙の本を手放し、それで全然問題なかったというのは驚きでした。
本を仕事にする方にとって、本は教科書でもあったのではないかと思います。装丁や紙選びなど本の内容以外の部分でも紙の本を持つことは大いに勉強になるのだろうと思うのですが、その方が大量の紙の本を所持することをやめ、電子化も取り入れているわけです。
一時的に本を所持したとしても、すべてを物理的に持ち続ける必要はないと気づかされました。

●同時に読めるし荷物も減る。電子書籍のメリットを実感

ならば、一般人の自分はより一層、電子書籍に移行しても問題ないのでは? と思い、電子書籍へのハードルが一気に下がりました。

「ページをめくる楽しさが…」「目が疲れる…」と電子化に乗り気でない言い訳を並べていましたが、実際に佐々木さんが所持していたkindleの端末を見せてもらったところ、目の疲れはほとんど気になりませんでした。
そもそも、やめろと言われたって1日に何時間でもスマホを見ていられるくらいなので、読書が画面上に移行しても問題ないのではないかと考えました。

それ以上に、電子化のメリットを実感。
私の場合、読書したいと思う瞬間は、電車の乗り換えの待ち時間などが多いです。スマホにも電子書籍リーダーを入れらるので、これならどんな隙間時間にも読書できます。

しかも何冊も同時並行で読み進められます。
紙の本だと文庫でも2冊3冊と持ち歩くのは荷物が重くなって億劫ですが、その問題もクリア。荷物を軽量化したいと常々考えていたのでこれはいいなと思い、電子書籍というものに対して、前向きに気持ちが変化しました。

電子書籍を導入することを決めたものの、すべての本を電子化するのはためらわれました。
これまでの人生で10年20年と、何度も手に取り読み返してきたバイブル的な本がいくつかあったので、それは紙のまま残すことにしました。また、美術書や参考書的な、目的のページを開いて確認したい大判の書籍も紙で残すことに。

●持っていた本100冊を電子化。作業の大変さに必要な本があぶり出された

それ以外の本は電子化することにしました。用意するのは、裁断機とスキャナーです。自前で用意しなくても、自炊キットというものがレンタルできるので探してみてください。ある程度の厚みまでなら一発で裁断できますし、ごそっと一冊分スキャナーにセットすれば自動でスキャンしてくれます。

とはいえ何百冊もこの作業をするのは大変な労力です。
引っ越し前に「捨て活」がはかどるように、自炊の億劫さゆえに不要な本を手放す作業がはかどります。
騙されたと思って、一度2泊3日で自炊セットをレンタルしてみてください。自炊の労力をかけてまで残したい本かどうかを判断できるので、残したい本があぶり出され、問答無用で片づけがはかどります。

私の場合、「残すか迷う本は潔く手放す」という判断ができました。そういった本は古本買取に出しました。

・今後も読み返したい
・電子書籍で構わない

というものは、合計100冊ほどになりました。
これらをどんどんスキャン。2泊3日で作業は完了しました。

5台の本棚から溢れるほどの本を持っていたのが、小さなダンボール1箱分くらいの本の量になりました。

こうして、膨大な本をスリム化しました。