●人生は楽しいことばかりではないから、いい

ますます心が揺さぶられるような響きです。なにかを知りたいと思えば、便利な世の中にあるので、早速にこの言葉の語源を調べてみると、元々は唐の時代につくられた「勧酒」という漢文からのものと知りました。

原文は「君に勧む金屈巵 満酌辞するをもちひず 花ひらけば風雨多し 人生別離足る」というなにやら堅苦しく感じる一文ですが、この漢文を私たちがよく知る、美しくも切なくも感じさせる詩に訳したのが井伏鱒二。

「この杯を受けてくれ どうぞ並々、注がしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ」(引用:井伏鱒二『厄除け詩集』〕

あーー…。なんかよいなぁ。たまらなくよいなぁ、、と何度も呟いてしまいました。なるほど、こんな気持ちが年を重ねてきた深みなのかもしれないぞ、と思う正月となりました。

そして改めて、表現者の力というものも感じます。井伏鱒二。どんな人だったのだろうか? 思春期に読んだ太宰治からの印象だと、堅物な先生というイメージだったのですが、とんでもない無知からくる誤解だったのかもしれません。

人生楽しいことばかりでは、決して豊かには感じられない。そんな当たり前のことを、危うく忘れてしまいそうな世の中。久しぶりに、人生の先輩方の名作と言われる作品をじっくりと読んでみたいなと思います。

●2022年は猫(ニャン)だくさんの一年に

見つめ合う2匹の猫
一緒に暮らすココロ(左)とタック(右)
すべての画像を見る(全3枚)

わが家では、不仲な2匹の猫たちになにが起きたのか、珍しく寄り添う姿を見せてくれてうれしくなる2022年のスタートでした。今年は2が並ぶだけにニャンニャンと至るところで賑やかな猫一年になりそうです。

若い頃には、「猫好きだと子どもができないって言うけど本当なのね」という、爆弾的な嫌味を言われて悔し泣きをした過去があるお正月ですが、今となってはなんのその! 人生、人それぞれ。花に嵐のたとえもあるさ、と一献のお正月。

限りある人生。豊かな人生だったと思える今を、ともに生きていきましょう! 今年もよろしくお願いします。

50代からの毎日を応援する記事多数!「これからの暮らし by ESSEonline」はこちら