高見沢さんの、2021年ベストオブベストはこちら!
●思い出の食事とともに描かれる、温かく優しい物語
「祖母のカツ丼」魚乃目三太/著 少年画報社 全1巻
祖母と2人暮らしの一郎は、煮物ばかり並ぶ食卓に文句を言っていた。そんなある日、祖母特製のカツ丼が出てきて…。人々の暮らしが、それぞれの思い出の食べ物とともに描かれる。涙と笑い、人生がつまった作品集。
●どの世代であっても共感を覚える物語
「祖母のカツ丼」は庶民グルメにまつわるエピソードを綴った短編集。読むだけで心がホワッとなります。作者の暖かく素敵な心根が伺える作品達は、まさに読むサプリそのものでした。登場する料理も、カツ丼に餃子、コロッケパンに焼きそばと、お馴染みのものばかり。クリスマスの奇跡を描いた「カップヌードル」には思わずホロッときましたね。
THE ALFEEも全く芽が出ず燻っていた時代、学園祭シーズンはカツ丼が出れば、どんな場所でも歌いますという触れ込みで、あらゆる学園祭に出たことがあります。今思えば何と長閑で呑気な条件だったのでしょう。
ある高校の予餞会では朝礼後のライブでしたので、早朝に控え室に用意されたカツ丼を3人でショクしました。多分前夜に用意されたもので多少冷たくなってはいましたが、とても美味しかった記憶があります。僕らにとってカツ丼は、ある意味懐かしのライブの味というソウルフード以外の何物でもありません。(ESSE2021年11月号より抜粋)
<カツ丼は、僕らにとっても忘れられない味>
自分としては、どのコミックもベストですが、あえて選ぶなら『祖母のカツ丼』です。食べ物にまつわる物語はどの世代であっても共感を覚えますからね。
僕らは3人で学食から始まり、楽屋、スタジオ、居酒屋など、様々な場所で食事をしてきましたが、石川県羽咋高校で朝方に食べた、冷えても美味しいカツ丼の味は忘れられません。