現状では消費者にリテラシーが求められる

薪ストーブ
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たかまつ:環境保護の話に移ると、エネルギーの問題についてはなにが本当に環境によくて、なにが悪いのかが判断しづらいというのが正直な感想です。たとえば太陽光パネルについても、製造時に排出される二酸化炭素の問題が指摘されていたりしますよね。

三浦:パネル製造時のCO2排出量については、太陽光発電によって 1〜2年で相殺できるので、ほとんど問題はないでしょう。とはいえ、投資目的でメガソーラーを建設するために、あちこちの山が削られるなど、かえって自然破壊になってしまっているケースがあるのも事実です。手放しで「自然エネルギーがいい」とはいえない現実にも目を向けるべきではあるでしょう。ただ、太陽光パネルに限った話ではありませんが、普及して間もない製品にはさまざまな問題が浮上するもの。最初から完璧を求めるとなにも進まないので、普及の過程で修正を重ねていくことが大切なのかなと思います。

たかまつ:なるほど。それにしても、消費者が勉強しなくてはならないことが多すぎて、ついていけないと感じる人は多そうです。環境にいい家を買いたいと思ったときに判断基準になるような情報が、もっと簡単に手に入ればいいのですが。

三浦:それは本当にそう思います。日本ではどうしても、企業側が丁寧な説明を行うというより、消費者のほうにリテラシーを求めてしまうところがありますよね。とはいえ、それで消費者が「判断できないのは自分が勉強していないからだ」と諦めてしまってはもったいない。企業に対してわかりやすい情報提供を求める声を、もっと積極的に上げてほしいと思います。

たかまつ:今の時代、消費者の声はかつてないほど力を持っていますから、そこから少しずついろいろなことが変わっていくかもしれませんね。

三浦:たとえば、賃貸の物件情報には、「築〇年」や「南向き」といった情報に加えて、「環境性能」や「省エネ性能」がどうなのかといった項目も入ってくるべきだと思っているんです。実際、EUでは不動産取引にも環境ラベルのようなものの表示が義務づけられています。日本の不動産会社も、ぜひこれにならってほしいですね。

たかまつ:個人的には、結婚式でいうところのウェディングプランナーのように、第三者として中立的なアドバイスをしてくれる人がいてくれるとうれしいですね。

三浦:それは今、いちばん必要なことだと思います。これからはそういう仕事が増えてくるのかもしれませんね。

※情報は「住まいの設計2021年12月号」取材時のものです

 

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