共働き夫婦で夫婦ともに収入がある場合、子どもはどちらの扶養親族にした方が税金や社会保険料がおトクになるのでしょうか?
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、行政書士の當舎緑さんに教えてもらいました。
共働きの場合、子どもを扶養に入れるなら(夫)VS(妻)どっち?
どちらがおトクか? は、税金と健康保険の2つの側面から考える必要があります。
●16歳未満の子どもは、どちらの扶養に入れても所得税額は変わらない
税金上は収入が多い方の扶養に入れた方が、扶養控除を受けられて節税になるのでおトク。
ただし控除対象になるのは16歳以上で、16歳未満の子どもはどちらの扶養に入れても所得税額は変わりません。
16歳以上の控除額は、所得税で38万円(19歳以上23歳未満は63万円)、住民税で16歳以上33万円(19歳以上23歳未満45万円)です。
●夫が自営業、妻が会社員なら子どもはママの健康保険の扶養に入れるのがおトク
健康保険については、収入の多い方に入れることが原則になっていますが、問題は夫が自営業で妻が会社員の場合。
夫が自営業で妻が会社員の場合の保険料を考えてみましょう。
夫が支払う保険料(自営業・国民健康保険)
・子ども2人を夫の扶養に入れた場合 51万8152円
・子ども2人を妻の扶養に入れた場合 40万7752円
妻が支払う保険料(会社員・協会けんぽ)
・子ども2人を夫の扶養に入れた場合 15万3972円
・子ども2人を妻の扶養に入れた場合 15万3972円
※夫の年収を500万円、必要経費を120万円、妻の年収は300万円(標準報酬月額26万円)とした場合。
※国民健康保険料は都内在住の一例。国民健康保険の保険料は住んでいる市区町村によって保険料が、協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なる。
※国民健康保険は、加入人数によって保険料は異なる。
上表のとおり、会社員が加入する「健康保険(協会けんぽまたは組合健保)」は、扶養親族が増えても保険料は変わりませんが、自営業が加入する「国民健康保険」では、加入人数によって保険料が加算されます。その結果、上表の例では、子どもを自営業の夫の扶養に入れると、保険料が約11万円増えることに。
勤務先の許可がとれるなら、税金と健康保険とで、子どもの扶養先を夫と妻とで分けるという方法もあるでしょう。