2021年も大活躍の吉田羊さん。自身にとって大切な作品と話す、『コールドケース』シリーズへの意気込みをはじめ、撮影の中断を経て感じた仕事への思い、暮らしの変化について語ってくれました。

吉田羊さん
吉田羊さん
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ドラマ『コールドケース』に主演中。吉田羊さんインタビュー

この撮影の日は、夜までひっきりなしに撮影が続くハードなスケジュール。にもかかわらず、笑顔で次々とポーズをとってくれた吉田羊さん。
今年の目標を尋ねてみると、「日課のランニングを続けること」と教えてくれました。

「自粛期間中に自分の体と向き合って、ランニングを始めたんです。習慣化したら、うれしいことに体が軽くなって。気持ちも明るくなり、ポジティブに物事を捉えられるようになってきたので、心身は連動しているんだなぁとつくづく実感しています。せっかくなので今年も続けて、“動ける体”をキープしたいですね」

●必要最低限のものだけで暮らしていけるんだと実感。ムダ買いがなくなりました

ステイホームで暮らしを見直す人が多かった昨年。それは吉田さんにとっても同じだったよう。

「まず、不要な買い物をしなくなりました。今までは休日にまとめ買いして、使いきれずに捨ててしまうこともあって。買い出しもままならなくなり、最低限のものだけで暮らすようになったら、意外と大丈夫だと気づいたんです。今までいかにムダが多かったのかと反省しましたね。その間は備蓄していた缶づめを使いきろう! と目標を立てて。備蓄用のサバ缶やツナ缶を消費していました(笑)」

撮影がストップしていた期間は、オンライン配信による演劇やリモート制作のドラマにもチャレンジ。「俳優はなんて無力なんだろう」と打ちひしがれた時期もあったという吉田さんですが、新たな試みを通じて、エンターテインメントの可能性に気づかされたそう。

「歌で感動させられるわけでもないし、ネタでだれかを笑わせることもできない。俳優ってひとりではなにもできないんだな、と痛感しました。その一方で、私自身はたくさんの映画やドラマに救われました。私にもできることがあるんじゃないかと思っていた矢先にお話をいただいて。観た人からもうれしい感想が届き、不要不急といわれたエンタメもだれかの励みになるのだと勇気づけられました」

●覚えるべきせりふや居場所があるのは、とても幸せなこと

吉田羊さん片足たてて座る様子

自粛明けからは、中断していた『連続ドラマWコールドケース3~真実の扉~』の撮影が再開。未解決事件の真相を解明する捜査チームの活躍を描いた人気シリーズ第3弾で、吉田さんはチームを率いる、主人公の石川百合を演じます。

「前作が終わってからも百合さんはずっと私の深い部分にいて、私の一部になっていたんです。だから彼女の人生をもう一度生きられることがとてもうれしくて。再開前、久々に台本を開いたときは『覚えるべきせりふがあるってなんて幸せなことなんだろう』と、必要とされるありがたみを感じました」

江口洋介さんや岩田剛典さん、仲村トオルさん…と各話ごとの豪華ゲストもドラマの見どころ。ゲストを迎える際、主演として意識していることはあるのでしょうか。

「すでにでき上がったチームにあとから入る緊張感は、私もよくわかるんです。だからなるべくリラックスできる空気をつくるように意識しました。ただ百合さんのキャラクター上、現場でおちゃらけることはできないので、光石研さんがムードメーカーを買ってくれて。光石さんがなにか言うたび、現場に笑いが生まれるんですよ」

●このドラマが初心を忘れちゃいけないよ、と教えてくれる気がする

吉田さんが連ドラ初主演を果たした、記念すべき作品でもあるこのシリーズ。自身にとって、どんな意味をもつ作品なのでしょう。

「経験を重ねると、どこかで俳優としてのあり方にあぐらをかいてしまう可能性があるんですよね。そんなとき、このドラマが初心を忘れちゃいけないよ、と教えてくれる気がして。つくりがシンプルで、役に丁寧にフォーカスするので、小手先のお芝居がじゃまになるんです。だから自分の心に忠実にお芝居ができる。今の私にとって、必要な作品でした」

キャリアを重ねても、ストイックに自分をみがき続ける吉田さん。だからこそ、いつでも私たちの心を引きつけるのでしょう。

【吉田羊さん】

福岡県出身。1997年の舞台デビュー以降、多くの舞台やドラマ、映画で活躍。近年の出演作に映画『ハナレイ・ベイ』『七つの会議』、ドラマ『凪のお暇』『まだ結婚できない男』『恋する母たち』など。現在、主演ドラマ『連続ドラマWコールドケース3~真実の扉~』(WOWOWプライム・土曜22時~)が放送中。