●まさかの急性心筋梗塞で緊急手術!離れていると緊急性がわかりにくいことを痛感

女性と話す男性
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施設に入所して半年くらい、小さいトラブルはありつつも、生活にやっと慣れてきたある日、施設のケアマネージャーから「お父さんが調子悪そうなので、すぐに救急車を呼ぶことにした」という電話が入りました。

「なんでも、夕方、喫茶店から戻ってきて来てから首の後ろが痛いと訴えて、変な汗をかいていると。電話で父とも少し話しましたが、会話は普通にできているし、正直どのくらいまずい状況なのかわからず、ひとまず施設のスタッフに対応をおまかせすることにしました。搬送先の病院で診てもらった結果は急性心筋梗塞。すぐに大きい病院へ移送され、その日のうちに緊急手術になりました」

二度目の電話で、大学病院の医師から手術の同意を迫られた和子さん。まさに1分1秒を争う事態でした。和子さんが弟と一緒に病院へ到着したときには、すでに手術を終え、お父さんはICUにいたそう。無事に一命をとりとめ、心臓の機能は以前の2/3にまで落ちてしまったものの、一週間も入院すればもとの生活に戻れることになりました。

「主治医からは、心筋梗塞の場合、この病院に到着するまでに4割の人が亡くなってしまうと言われました。首の後ろが痛いという本人の話だけでは、こんな重篤な事態になっているなんて想像もつかなかったですし、施設のスタッフの的確な判断のおかげで命が救われたと思っています」

●入院費用と施設費用がダブルでかかることもある

もうすぐ70代へ差しかかろうとしている和子さんのお父さんは、年1、2回は入退院を繰り返すような状態。入院中も施設費用は(食事代を除いて)かかり続けるため、支払いが二重で発生することもしばしば。

それでも、入退院のつきそいやその後のケアも施設のヘルパーがすべてやってくれているので、最初の入院の時に比べると家族の負担はだいぶ軽減されました。働き盛りの子ども世代にとっては、親の入退院につきそう時間的な負担はとても大きいですよね。

●介護状態が進んでオムツ代もかさむように…

女性に食べ物を口に入れてもらう男性

介護度が進むにつれて、オムツ代がかさむようになっていきました。排泄処理費用込で月に7万近く上乗せされることも。

「本人が潔癖症で、すぐにオムツを取り替えたがるので、ヘルパーさんたちのお手間もだいぶおかけしてしまっています。少しふらつきは出てきているものの、歩いたりすることはまだ普通にできているので、なるべく自分でトイレへ行くように説得しています」

排泄処理費用は施設ごとに金額設定がまちまちなので、入所前に調べておけるといいですね。在宅介護と違って、施設でかかるオムツ代は自治体からの補助もでないので、ダイレクトに金額に跳ね返ってきてしまいます。

●コロナ禍における老人ホーム生活の様子は?口だけ出してなにもしない親戚に閉口

新型コロナウイルスが猛威をふるっている今年は、家族の面会に制限をかけている老人ホームは少なくありません。和子さんのお父さんの施設では、オンラインによる面会を実施してくれたり、医師からの診察結果なども、施設のスタッフが今まで以上にこまめに共有してくれたりしているそう。
今では、仲のいい入居者友だちもできて、お父さんも快適に暮らせているといいます。

「早めの施設入所はやっぱり正解だったと思っています。いまだに、娘がいるのに、父親を施設に入れるなんて! と文句をいってくる親戚はいますが、そういう人たちは世間体ばかり気にして、父が入院しても、死にかかっても、なにもしてくれませんでした。口だけ出されても迷惑なので距離を置くようにしました」

現役世代に突然降りかかってくるかもしれない老親の介護問題。いざというときに慌てないように、常日頃から話し合いの機会を持ち、老後の計画を親子で一緒に立てていくことがみんなの幸せに繋がるカギかもしれません。