急いで決めた有料老人ホーム。入所後に発生した思わぬ負担とは?

有料老人ホームの料金は当初予定していた金額より高く、毎月5万ほど足が出る状況でしたが、預貯金を切り崩しながらやりくりしていけるので許容範囲でした。

看護士が24時間常駐している施設で、定期的な医師の往診もあり、食事や服薬管理もしてもらえる点も安心感があったといいます。施設の広い庭には喫茶店やパン屋さんがあったり、理容師も毎月訪問してカットしてくれるなど、生活に不自由はない様子だったのですが…。

●施設内に友達ができない。慣れない集団生活に父の不満が爆発!

食事をする男性の後ろ姿
すべての画像を見る(全5枚)

「施設探しをしているときには、介護サービスの内容のことに夢中であまり気にしていなかったのですが、入居者の平均年齢が、父よりも10歳くらい上でした。普段の生活で、話が合う人がなかなか見つからなかったようで、朝から夜までしょっちゅう文句の電話がかかってくるようになってしまいました」

有料老人ホームは「体験入所」などを実施しているケースも多いです。どんな食事を食べるのか、入居者はどんな人たちなのか、レクリエーションの頻度や生活の様子など、事前に余裕をもって体験してみてから、決められるとよかったのかもしれません。

●父が知人に食事やお茶をおごりまくり、10万円があっという間になくなった

3食+おやつもついていて、お茶やお水も自由に飲める施設でしたが、洗濯代や喫茶費用などはその場で現金支払いが必要でした。毎月数千円程度の出費かと計算していたのですが…。

「父は、とても気風のいい性格でした。施設にはATMもないので、お金に困らないように余裕をもって10万円を渡しておいたら1か月ももたずに、あっという間に使いきってしまって…。いったいなにに使っているのかと思ったら、施設を訪ねて来てくれた友人、知人に食事やお茶をおごりまくっていたようです。いくら父のお金とは言え、大事に使っていきたい介護費用。それを“おこづかい”といって湯水のように使うので困りました。なかには施設に『お金を貸してほしい』と無心にくる怪しい人もいて…」

介護施設によっては、外出制限や面会制限をかけているところもありますが、和子さんのお父さんのように自分の意思で人を招いたり、お金を使ったりしている場合、施設側も無理に止めることは困難だったそう。

しかし「父の散財癖に気がつかぬまま一人暮らしを続けさせていたら、預貯金を使い果たしていたかもしれません。介護費用が残っているうちに父のお金に対する問題がはっきりしたのは、ある意味よかったです」と和子さん。