総合病院の薬剤部を舞台に、主人公の葵 みどり(石原さとみ)と仲間の病院薬剤師たちが、患者の“当たり前の毎日”を取り戻すために奮闘するドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』。
キャリア3年目の若手病院薬剤師・羽倉龍之介を演じている井之脇海さんに、役づくりやコロナ禍で感じたことを伺いました。

井之脇海さん
井之脇海さんインタビュー
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井之脇海さんインタビュー「患者さんに真剣に向き合う薬剤師の姿勢に、すごく心温まる作品です」

羽倉は、いじられキャラのムードメーカーですが、じつは大病院の息子で、医学部受験に失敗し、薬剤師に。著名な医師の父親からは勘当され、そのため自分の仕事に自信をもてないでいたのですが、その葛藤を見事に乗り越えて成長しています。

「羽倉を演じる上で、彼がなんで薬剤師を目指したのかということは、すごく大事。そこに仕方なくいるのか、やりたくているのかによって、モチベーションは変わりますし、そこをきちんと考えて演じないと、中身がなくなってしまいます。羽倉は、初めは自ら用意した明るい仮面をかぶっていましたが、今では心から明るく薬剤師という仕事に向き合えるようになりました。そんな羽倉の心の動きを丁寧に演じて、僕自身もともに成長していければと思います」

●幼い頃、薬剤師さんのお世話に

羽倉の内面を深く掘り下げる一方、初めて演じる病院薬剤師役についても、しっかり準備したといいます。本やネットで勉強し、薬剤師の仕事を見学に行き、調剤の練習キットを持ち帰って練習したとか。
「体に動きがしみつけば、それがベースとなって、役のことを考えられる」からだと語ってくれました。

「僕は、幼い頃入院していた時期があって、お世話になっていたはずなのに、薬剤師さんの存在を気にしていませんでした。今回、いろいろなところで自分は薬剤師さんに支えられていたんだとか、もし間違った処方がそのままとおっていたら自分は健康ではいられなかったかもしれないなど、あらためて薬剤師さんのありがたさを実感しました。このドラマは、単に仕事内容を伝えるだけではなく、患者さんに真摯に向き合う薬剤師の姿勢にすごく心温まるし、だれかのために真剣に動くっていいなと、心打たれる作品。こんなステキなドラマに恵まれて幸せです」

●すでに芸歴は15年。井之脇さんの今後のビジョンは?

自身は、9歳から子役としてキャリアをスタートし、すでに芸歴は15年。そんな井之脇さんに、今後のビジョンを聞いてみました。

「長期的には、いろいろな作品から呼んでいただける役者になりたいです。同時に、今の作品が最後になっても後悔したくないという気持ちもあって。今回、コロナで収録が中断され、自粛生活のなかで、『もうドラマはつくれません』となったら、自分は後悔しないでいられるだろうかと考えました。だから、今は後悔しないように、常にやりきるつもりで臨んでいます。ワンシーンワンシーン真剣に向き合うことしか、今の僕にはできないですから」

ひとつひとつ丁寧に答える姿は、誠実そのもの。井之脇さんの人柄がにじみ出ているからこそ、羽倉がより魅力的に感じられるのでしょう。

◆木曜劇場

『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』

毎週木曜 夜10時
フジテレビ系 全国ネット放送中

【井之脇海さん】

1995年、神奈川県生まれ。2008年公開の映画『トウキョウソナタ』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞。おもな出演作は、連続テレビ小説『ひよっこ』、大河ドラマ『おんな城主 直虎』『いだてん~東京オリムピック噺~』、ドラマ『義母と娘のブルース』『集団左遷!!』『教場』『伝説のお母さん』など。待機作に、映画『砕け散るところを見せてあげる』『サイレント・トーキョー』がある