50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した5歳の長男・うーちゃん、里子の2歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、公園のブランコで起こった悲劇についてのお話です。
ブランコや滑り台が得意な2歳児と、じつは怖かった5歳児。そして悲劇が…
うーちゃん、ぽんこちゃんと土曜日の午前中に、近所の児童公園に行きました。
先日、老朽化のせいか滑り台を撤去して新設していたのですが、前よりずっと小さくて低いものに変わっていました。
新しい滑り台が設置されてからもしばらく囲いがあって遊べない状態が続いていたので、ようやく囲いが取れて遊べるようになったのです。
ぽんこちゃんが滑り台に上って、うれしそうに滑りました。勢いよく滑ったせいで、一番下で止まらずに地面に落ちてお尻をついてしまいました。
お尻についた砂を払っていると、お尻がびちょびちょに濡れています。この日はめずらしくいい天気だったためか、朝露が大量に発生。滑り台の位置は公園の隣の家の影に入っていたため、日差しがなくて朝露が残ったままでした。
来てすぐ一発目の悲劇でもう帰ってズボンを履き替えさせたかったのですが、ぽんこちゃんは強硬にブランコに乗ると言って聞きません。こうなると気がすむまで少しやらせるしかないのです。
ぽんこちゃんはブランコが好きで一度も怖がったことがなく、なにも教えていないうちから器用にすっと降りることもできました。
一方うーちゃんはずっと怖がって、いまだに乗っているところを見たことがありません。
2歳のぽんこちゃんの手前、5歳の男の子がそういった態度を見せるわけにいかないのか果敢に乗って、見事に前後に揺らしてブランコを乗りこなし、僕にブランコを押すように言いました。いつの間に乗れるようになったのか感心しました。
●悲劇に見舞われたうーちゃん、まさかの無表情に…
二人がブランコで遊んでいると、公園の隣に住んでいる1年生の男の子が来ました。その子はとても面倒見がよく、ぽんこちゃんと一緒に遊んでくれます。
男の子がうーちゃんのブランコの鎖をつかんで押すと、どんどん高く上がります。大丈夫かなと思っていると「オーケー! オーケー!」とうーちゃんが叫び始めました。
怖がっているなら「やめて」と言えばいいのに「OK」ではそれでよしという意味になります。
男の子が押していると、うーちゃんが一番後ろに高くなったところで手を放して、地面に腹ばいで落ちました。
ふわっとした着地で地面も柔らかく湿った土だったせいか、どこも痛がっておらず泣いてもいません。ただびっくりしたようで表情がなかっただけでした。ほっと胸をなでおろしました。
男の子が傷つくといけないので「ありがとうね。大丈夫だよ」と声を掛けていると、うーちゃんがそっと公園から出ようとしています。
「どこ行くの?」
「いったん家に戻ってまた来る」
いくら近所でも一人で帰らせるわけにはいきません。ぽんこちゃんの濡れたズボンもあったので、男の子にお礼とバイバイを言って3人で帰りました。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ
『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ
『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
@koizumi69)をチェック!