SNSに整った家の様子やおうち仕事を投稿するのがブームになり、「丁寧な暮らし」を志向する人が増えています。
一方で、女性も仕事をもつのが当たり前の時代。「あまりに完璧な家事を目指して疲れてしまう」という声も、ESSE編集部には多数寄せられています。
暮らしに関する雑誌を編集し、家事に関する著作もある一田憲子さんは、「家事は最低限のがんばりでよしとする」と決めていることも多いのだとか。
すっきりと片づいたお宅の雰囲気からも、いかにもきちんとした暮らしを実践していそうですが、上手にメリハリをつけて、がんばりすぎないようにしている一田さん。家事の工夫を教わりました。
疲れているときは家事をがんばらなくていい!暮らしのプロが教える手抜き術
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暮らし回りの取材を数多く重ねている一田さん。家の中もご覧のとおりすっきりと片づいていて、「ちゃんとしてる感」が漂うのですが、「いえいえ、大ざっぱな人間ですから」と笑います。
住まいは、味わいのある築50年の平屋建て。一田さんのお眼鏡にかなった家具や雑貨、日用品などがほどよい感じに収まっています。
「引っ越してすぐの頃は、珍しい家だからと取材を受けることが続いて、ちゃんとしてなきゃという気持ちもあったんですね。ライフスタイル系の雑誌もつくってるし、丁寧に暮らしてないといかんのじゃないかとか、ぐうたらなところをあらためようとか、いろいろ考えたりして」
でも、自分に合わないことはやっぱり続かなかったそう。
「数々の失敗を繰り返すうち、ダメな自分ができるところっていうのがわかってきて、そのなかから快適に暮らす方法を探ってきました」
暮らしのことは、完璧よりも快適さを大事にする
ダメなときの自分がやる家事に点数をつけたら、せいぜい10点か20点ぐらいと一田さんは言います。
「でも、10点でもやった方が成果はあるんですよ。100点を目指してると、10点程度のことはきり捨てて、もうやる気がなくなっちゃう。そうじゃなく、ダメなときの自分を想定して打つ手を考えておくと、それなりに快適に暮らしは回るものだなと、最近わかってきました」
●献立はいつも同じがホッとする
仕事柄、レシピを知る機会も多いですが、家では肉と野菜の甘辛い炒め煮など、定番メニューを繰り返しつくっています。
「新作を出しても夫の反応はいまいちなので、たまにしかつくりません。食べ慣れた味はホッとするし、やっぱりおいしい。それでいいかなって」
時間がたつほど、味がなじんでおいしくなるものをつくりおき。
「キャロットラペや紫キャベツのマリネは、彩りもきれいでよくつくります」
●汚れやすいものは手入れがラクな材質に
キッチン回りに置く保存容器やキャニスターなどは、ガラスやほうろう、ステンレス製品をチョイス。
「油が飛んでも、熱いお湯で絞ったふきんでふくだけでさっぱり。カラフルなプラスチックのツールを使っていたこともありますが、手入れが大変で手放しました」
油は小ビンを買って、段ボールを敷いたトレーにセット。多少液だれしても、ひどくなる前に使いきるサイクルで「まあまあきれい」をキープしています。
●できないときの備えは多くもつ
バスタオルとフェイスタオルは、夫婦2人×3日分の6枚ずつ用意しています。
「天候が悪かったり、出張が入ったりで洗濯できないときを見越して多めに。使いたいときにないと困りますから。すぐ乾き、薄手でかさばらない平織りのものを愛用しています」
●見えない所までは片づけない
リビングのサイドボード上の引き出しには、「ここにあると便利なもの」をいろいろ収納。
「探せばすぐ見つかるし、閉めれば見えないので、ごちゃごちゃなままでも気にしないの」
ジャンルごとに分けて道具を入れた、サイドボードの中のボックスも、中身は整理していませんが、問題なし。
ESSE7月号の特集『家事は「2割」でちょうどいい』では一田さんの暮らしの工夫をさらに詳しく紹介しています。
暮らし上手な人たちが、じつは上手に手間を省いている家事のコツも満載。ぜひチェックしてみてください!