体内でエネルギー源となるブドウ糖をはじめ、各種アミノ酸やビタミン類、食物繊維などさまざまな栄養素を含み、「飲む点滴」ともいわれる甘酒。近年、市場が拡大しており、コンビニやスーパーでも手軽に手に入るようになりました。
そんな甘酒、じつは飲むだけではなく、調味料としても優れています。
『料理用あま酒、はじめました。』という著書もあり、甘酒に詳しい料理研究家の舘野真知子さんに、甘酒を調味料として活用する方法を伺いました。
ひとさじの甘酒がだしのようなうま味になる!
甘酒はビタミンB群や、トリプトファン、メチオニンなど必須アミノ酸9種(体をつくるのに必要だが、体内で合成できないアミノ酸)が含まれる健康飲料です。また、うま味成分のグルタミン酸も入っています。
カツオだしやコンソメ、鶏ガラスープの代わりに使ってもよし、うま味素材と一緒に使って相乗効果を楽しむもよし。合わせる食材のおいしさを引き出してくれるのです。
ここで注意! 市販品はそれぞれ甘さやとろみが違うので、分量を調整しながら好みの味に仕上げましょう。また、塩分が加えられている甘酒の場合は、塩加減をみて使用してください。
●甘酒としょうゆだけで、「炊き込みご飯」が料亭の味に!
今回ご紹介するのは、だしを使わないにもかかわらず、本格的な味わいに仕上がる「炊き込みご飯」。炊飯器のフタをあけた瞬間の香りはとびきりよく、新米でなくても甘くふっくら炊き上がります。
甘酒には、米に水分を吸収させる性質があり、浸水時間が短くてすむのもうれしいところ。ただし甘酒は、ねばり成分であるタンパク質を分解します。時間が経つと米がパラパラになるので注意。甘酒を加えたらすぐに炊きましょう。
●鶏そぼろのゴボウ炊き込みご飯
甘酒があれば、香りよく、本格的な味わいの炊き込みご飯が炊飯器で完成します。
【材料(4人分)】
米…2合
鶏胸ひき肉…100g
A[甘酒…大さじ2 しょうゆ…大さじ1と1/2]
ゴボウ…1/2本
ニンジン…1/4本
ショウガ…1かけ
(※でき上がりは上写真参照)
【つくり方】
(1) 米は洗って30分ほど浸水させ、水気をきる。
(2) ひき肉にAを混ぜる。ゴボウはささがきにして水にさらし、水気をきる。ニンジンとショウガは千切りにする。
(3) 炊飯器に米、分量どおりの水、(2)を入れて普通に炊く。
炊き込みご飯に限らず、毎日の白ご飯にも活用してみるのもおすすめです。
米1合に対して甘酒大さじ1/2を加えたら、すぐに炊きましょう。いつもの白ご飯が、麹の風味香る、甘くおいしいご飯に! 古米であるほど、その違いがよくわかります。
●「料理用甘酒」は自宅でもつくれる!
ちなみに料理用の甘酒は、米麹とお湯でつくれます。保温ボトルを使った簡単レシピなので、ぜひチャレンジしてみてください。つくった甘酒は冷凍で2、3か月保存できます。
【材料と道具(約450cc分)】
乾燥米麹…150g(生麹の場合は200g)
湯(60~62℃)…300cc
保温ボトル(500cc以上の容量)
温度計(電子温度計が見やすい)
【つくり方】
(1) 保温ボトルに熱湯を注ぎ、あらかじめ温めておく。湯を捨て、手でほぐした米麹を入れる。湯を捨て、手でほぐした米麹を入れる。
<POINT>保温ボトルに熱湯(分量外)を注ぎ、あらかじめ温めておきましょう。
(2) 60~62℃のお湯を注ぎ入れ、フタを閉めて全体がなじむように振り混ぜたら、そのまま3~4時間おく。
<POINT>静かに振り混ぜたら、冷蔵庫ではなく、温かいところにおいてください。
(3) 一度鍋に移し、弱火で1分ほど、鍋の縁がふつふつと泡立つまで加熱し、60℃まで温度を上げる。
<POINT>全体的にわき立つのではなく、鍋の縁だけが泡立った状態がベストです。
(4) もう一度ボトルに戻し入れ、さらに3~4時間おく。
<POINT>寒い時期は、なるべく温かい場所におきましょう。
(5) ほんのり黄みを帯び、甘味が出ていたら完成!
<POINT>つくった甘酒をすぐに使う場合は、あら熱をとって冷蔵庫へ(保存は2、3日)。納豆などのほかの菌に影響されるので、必ず清潔な密閉容器に入れること。
長期保存は冷凍庫が安心です(2、3か月)。密閉保存袋に入れ、平らにならしましょう。糖度が高いため、カチカチに固まらないので、必要な分だけ使えます。