6つのCは、どこでどのように身につけられるのか?

―6つのCが大切だとして、それらの育成を謳う、特別な学校に子どもを入れるべきなのでしょうか?

(市川)本書ではこれらの力をどのように身につけていけばいいか、具体的な方法についても興味深い事例をたくさん挙げていますが、ここで大事なポイントがあります。それは「6つのCは、いつでも、どこでも、だれとでも身につけられる」こと。特別な場所での特別の教育は必要ありません。学校や塾で教えられて受動的に身につけられるものではなく、環境さえ整えば生活のなかで子どもが自ら能動的に身につけていくことができるのです。つまり、どの家庭でも、お金をかけずに実践でき、地域コミュニティでサポートしていくことができるということなのです。

もうひとつは、子育て成功への道は大人も成功する道でもあること。6つのCのスキルは子どもだけが身につけるべき能力ではありません。大人が成功し、幸せに生きていくために必要な能力でもあります。子育てを通じて大人も育ち、大人が育つから子育ても“成功”するのです。本書では、ビジネスの場でも6つのCが必須であることがわかる事例がたくさん紹介されています。じつは本書は、ビジネス向けの啓蒙書としても読むことができるのです。

「高額の月謝を払わないとお宅のお子さんは英語ができるようにならないとか、同じ年齢の子どもに遅れを取ると言っては親を脅すブラックな教育産業会から子育てを取り戻そう」、「大人と子供、家庭と職場、そして地域が一体となって学びを楽しみ、新しい時代をつくろう」それが著者たちからの大切なメッセージです。

―とはいえ、塾に行かなければよい大学には行けないのではないでしょうか?

(今井)これまでの暗記中心の知識では、これからの複雑で多様な情報社会で活躍することはできないということは、もはや世界の先進国の常識になっています。わが国も2020年から大学入試が大きく変わります。これまでの「人に教えてもらう」ことを前提とした学び方では、新しい方式の入試問題には太刀打ちできなくなると言われています。

この本を読み、ここで提唱されている「よく学ぶための五カ条」を土台に子どもの学びを導けば、“新入試”にも対処できる力―自ら発見し、学び、問題解決をする力―が身につくことでしょう。しかし、そのためには子どもだけではなく、親も一緒に楽しみながら学び、6つのCの能力を育てていくことが大事なのです。親の持つ6つのCの能力が、子どもの成功のために欠かせないのです。

学力の差を生み出すのは親の経済力の差だと言われていますが、それは「学力」の古い考え方でのことです。これからは、子どもの学力の差を生むのは親の6つのCの力であると言えるでしょう。