クスミやハリ、弾力の低下といった肌の老化トラブルや、骨の質(骨質)の低下などの体の老化現象には、“糖化”が関係しているって、知っていますか? 若々しい肌や健康的な体をキープするには、糖化を防ぐ、糖化ケアがカギになりそうです!同志社大学 生命医科学部 糖化ストレスセンター 八木雅之教授に伺いました。

「糖化とは、メイラード反応とも呼ばれ、糖とタンパク質を加熱したり、熟成させることで起こる、褐色に変化する反応のことです。この反応のおかげで、パンケーキにキレイな焼き色がついたり、しょうゆのコクが深まったりします」(八木教授、以下同)。

 食べ物は加熱することで糖化が進み、風味やおいしさが増しますが、私たちの体のなかで糖化が起こると、老化を早める原因のひとつとなるようです。

“糖化”で体内のタンパク質が老化。コラーゲンの機能が低下する!

「私たちの体の約20%はタンパク質でできています。私たちは食事をとることで体内に糖をとり入れて日々のエネルギー源にしています。しかし糖を余分にとり過ぎると、体内のタンパク質が体温によってゆっくり温められてAGEs(エイ・ジー・イー)と呼ばれる老化物質に変化。AGEsが体内に溜まると、体内のタンパク質の機能が低下してしまいます。たとえば、コラーゲンの機能の変化が一例。私たちの体内のタンパク質の約30%はコラーゲンです。コラーゲンは、3重らせん構造というバネのような構造をしていて、その構造のおかげで肌のハリや弾力が維持されています。しかし、コラーゲンの糖化が進んでAGEsが溜まると、バネの構造がAGEsに邪魔されて肌のハリや弾力が失われてしまうんです」。

糖化は肌のクスミ、ハリや弾力低下の原因に!

糖化によって起こる私たちの体への影響はさまざま

 糖化によって起こる私たちの体への影響はさまざま。まず気になるのは、肌の老化トラブル。

「上の写真は、実験的に溶かしたコラーゲンを糖化させた様子ですが、日数を追うごとに糖化が進んで、コラーゲンが褐色に変化していることがわかります。実際の肌に置き換えると、糖化することで透明感を失い、くすんでしまうということ。また、肌では弾力も失うので硬くなり、ハリがなくなってシワも目立つように。つまり、老けて見えるんですね」。

骨が“糖化”すると骨質が低下して、折れやすくなってしまう!

骨が “糖化”すると骨質が低下して、折れやすくなってしまう!

「骨は、体積比にして50%のコラーゲンと50%のカルシウムなどのミネラルでできています」。骨を柱に例えると、コラーゲンは鉄筋、ミネラルはコンクリート。鉄筋(コラーゲン)にしなやかさがあると骨に柔軟性があり、揺れに強い柱(骨)に。

 しかし糖化してコラーゲンの構造が変わって硬くなると、揺れに弱く脆い柱(骨)になってしまうそう。「骨もコラーゲンが糖化することで骨質が低下し、骨折のリスクが高くなってしまいます」。

糖化は食事習慣やストレスで加速されて、蓄積する

 私たちの体は糖をエネルギー源として活動しているので、食事で糖をとり入れることは必要なことですが、血中の糖の濃度(血糖値)が高くなる時間が続くと、糖化が起きやすくなります。「血糖値を緩やかに上げる食事習慣をしていれば、AGEsができにくいので、糖化によるトラブルは起きにくくなります。しかし、血糖値の上りやすい食事、運動不足、紫外線、ストレスなどの影響を受けるとAGEsができやすくなって、体の糖化が進みやすくなってしまいます。野菜から先に食べる、白米やパンなどの炭水化物(糖質)の多い食品ばかりをとるのを控えるなど、副菜をしっかり食べて血糖値を上げにくい食生活を心がけ、適度な運動で糖を消費し、紫外線やストレスなどの影響を受けにくい生活を意識することが、糖化ケアのポイントです」。

マンゴスチンに含まれるポリフェノールが糖化ケアに効果的!

 糖化を防ぐためには、血糖値を上げない食事習慣や適度な運動、そしてストレスを受けないことを意識することが大切。とはいえ、実際にやるとなるとけっこう難しい…。しかも、加齢は意識しても止められるものではないです。では、どのような対応をとればいいのでしょうか?

「植物に含まれるポリフェノールのなかには、抗糖化作用のあるものがあります。サプリメントなどを上手に使って、積極的に植物ポリフェノールをとってみてはいかがでしょうか。最近の研究で、マンゴスチンの果皮に含まれる、水溶性ポリフェノール『ロダンテノンB』に、強い抗糖化作用があることがわかりました。普段から抗糖化作用のあるポリフェノールをとり入れることは、AGEsの蓄積による肌のハリ、弾力の低下やクスミを防ぐこと、骨の質を守ることが骨折などの予防に繋がる可能性があります」。

糖化ケアを意識した生活で、いつまでも若々しく!

AGE シャット/31粒
AGE シャット/31粒

 糖は私たちが活動するための大切なエネルギー源で、欠かせない栄養素。けれど、間違った糖の摂取や、AGEsができやすい生活習慣を送ってしまうと、美容や健康に悪影響を及ぼしてしまうことも。日頃から、正しい食生活や運動習慣、ストレスケアなどを意識し、サプリメントをうまく利用することで、ハリや弾力を保ち、クスミのない透明感のある美肌や、健康的な体をキープしましょう!

●教えてれた人
【八木 雅之 教授】

同志社大学 生命医科学部 糖化ストレスセンター チェア・プロフェッサー。糖化ストレス対策や抗糖化素材の研究、糖化・AGEsの測定法の研究、アンチエイジングや疾病予防としての抗糖化に関する普及・啓蒙活動などを進めている。