部屋が片づかない理由を聞くと、「片づけても片づけても家族が散らかす」という声をよく耳にします。実際「散らかす家族」を「片づける家族」にするのは容易ではありません。
「人間には利き手・利き足があるように、脳にも右脳と左脳どちらの脳をよく使っているかという『利き脳』という言葉があります。片づけをする際、脳を使って「いる・いらない」といったモノの要不要を判断したり収納方法を考えたり、それを実行に移したりしているわけですが、その際に右左どちらの脳が得意としているかによって、最適な片づけ方法を知ることができます」

 そうアドバイスしてくれたのは、時間と空間の整理のプロ、ライフオーガナイザーの森麻紀さん。利き脳を意識した片づけ術を、森さんに教えてもらいました。

利き脳を意識した片づけ術
利き脳を意識した片づけ術
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「利き脳」を調べて、片づけのヒントにしてみよう!

インプット(目や耳で見聞きした情報を頭に入れ込む…ものを見つける・探す)のときに優位に働く脳と、アウトプット(取り込んだ情報を脳で処理して言語や行動で表す…ものを収納スペースに戻す<配置や戻し方>)のときに働く脳と、特性がそれぞれ違います。スムーズな片づけをするには、まずこの2つの利き脳を知りましょう。調べ方は以下の通りです。

●インプットの利き脳

自然に指を組んでみて、右手の親指が下にきたら「右脳」、左手の親指が下にきたら「左脳」。
(写真の場合は、右手の親指が下なので利き脳は「右」)

インプットの利き脳

●アウトプットの利き脳

腕を組んでみて、右腕が下なら「右脳」、左腕が下なら「左脳」。
(写真の場合は、右腕が下なので、利き脳は「右」)

アウトプットの利き脳

利き脳タイプ別・収納の傾向とは

利き脳は指と腕を使ってセルフ診断できるのですが、たとえば、インプットの利き脳が「右」でアウトプットの利き脳が「右」なら「右右タイプ」、インプット脳が「左」でアウトプット脳が「右」なら「左右タイプ」ということになります。

●右右タイプ

→理屈より感覚。ワンアクション収納。使う物は使う場所の最短距離に。見えるところはおしゃれな収納グッズ。ボックスは中身がある程度わかる半透明がおすすめ。取り出しにくいと使わなくなる。たくさんものが置いてあると掃除をさぼる傾向。一時保管ボックス。目に入らないものは使わなくなる(しまい込まない)。探すことが嫌い。

●右左タイプ

→合理性と感覚の両方を求める傾向がある。形から入る(収納グッズを揃える)と成功しやすい。ごちゃごちゃ感が嫌い(中身が見えなければ入れ方は気にしない)。高さや大きさ、色をそろえるようにすると落ち着く。引き出しは仕切る。詰め込みすぎる傾向があるため、一定量しか入らない仕組みをつくる(量の見える化)。

●左左タイプ

→論理的に考えることが得意なので、時間軸や使用頻度で分けるとよい。捨てすぎることがある。文字の認識能力が高いため、ラベリングやリスト管理が有効。仕切られていない、決められていない空間を使うのが苦手(迷ったら仕切る!)。機能的に整える。合理性を優先。グルーピングや集中管理が得意。

●左右タイプ

→常識にとらわれず、マイルールで自分がわかりやすいことを重視。ほかの人の方法はあまり参考にしない。日用品は見えないと忘れてしまいがちなので、見える場所を確保する。細かく位置を決めると戻せない。

ここからは、私の利き脳を例に、適した片づけ方法を紹介していきます。ちなみに、私の利き脳は

「右右脳」

タイプになります。

(1)ラベリング

整理収納の基本テクニックとして使われるラベリングですが、インプット右脳タイプは位置関係で把握できるので、ラベリングをしなくてもスムーズに片づけができます。しかし、左左脳タイプや左右脳タイプのインプット左脳タイプは、ラベリングが必須。文字認識が得意だからです。主人は「左左脳タイプ」なので、彼が使うものにはラベリングしています。

(2)置くものの数をしぼる

「右右脳タイプ」は、ものがたくさん置かれていると掃除をさぼってしまう傾向にあるため、数をしぼり、さらにひとつにまとめるのが有効です。子どもの作品もトレーにまとめて一気に移動できるようにしています。

(3)一時保管ボックスをつくる

「とりあえず、ここでいいや」と置くと、あとで思い出せなくなるのが「右右脳タイプ」。定位置のないものを持ち込んだときは『一時保管ボックス』を用意し、必ず場所をつくってあげることです。

(4)生活動線を考える

面倒なことが大嫌いな「右右脳タイプ」は、収納場所も生活の動きに合わせて決めることが大切。たとえば、私は帰宅後にリビングに直行する習慣があるので、バッグを引っ掛けられるフックをキッチンカウンターに設置しました。

生活動線を考える

(5)分類の仕方

一般的に言われているのは用途別に分けるやり方ですが、右右脳タイプの人は素材や色がそろっていることを好みます。そうしたほうが元の場所に戻しやすい傾向にあるようです。逆に左右脳タイプの人は、まとめて立てて入れられる収納容器を使って、出しっぱなしにしておくと便利。細かく位置を決めない方が向いています。

分類の仕方

(6)収納ボックスの選び方

インプット右脳タイプに多いのが「見えないと忘れてしまう」ということ。たとえば野菜室のスライドトレー内の収納ケースは、透明のものを使用しています。こうしておけば、下まで見渡せるので、使い忘れてしまうことがありません。

整理収納が苦手だと思っていた人でも、実は(自分の)脳と合っていなかったということ(場合)もあります。自分のタイプにあった収納方法を知るヒントにしてみてください