スーパーの野菜コーナーにも少しずつ春野菜が並びはじめ、色あざやかな野菜で食卓がにぎわうようになってきました。嬉しい季節の到来!のはずが、野菜嫌いの子どもとその母親にとっては、事情が異なる様子。「離乳食では野菜を食べてくれたのに、成長したら全然食べてくれなくなった」「どんなに小さく刻んでも、野菜だとわかると全部出してしまう」「好き嫌いが多すぎて、毎日の食事づくりに苦労する」…。そんな悩みが聞こえてきます。
野菜ソムリエの和田順子さんも「2人の子どもに野菜を食べてもらえずに、手を焼くことがありました」。苦手意識を克服してもらうために、さまざまな工夫をしてきたそう。詳しくお話を伺ってみました。
野菜ソムリエが試行錯誤してきた、子どもの野菜嫌い克服法
ひと口に「野菜嫌い」と言っても、その原因はさまざまです。
単純に味が苦手なこともあれば、食感、触感、におい、箸で持ち上げた際の感じが嫌なこともあります。さらには、「〇〇ちゃんがピーマン嫌いって言っていたから、僕も嫌い」なんて言い出すことも!
原因がさまざまですから、「子どもが必ず食べるピーマン克服の黄金レシピ」などというものは、はっきり言って存在しません。黄金レシピはありませんが「こんなアプローチ方法で意外と解決できる」ことがあるのも、じつはこの悩みの特徴です。
私が試行錯誤してきたことをいくつかご紹介していきましょう。
子どもに合わせて野菜の食感を変えてみる
風味やにおい以外で、とくに子どもに嫌われる原因になりやすいのが野菜の食感です。味は好きだけれど食感で食べないという場合には、調理方法を工夫することで、突然食べてくれることがあります
【ぱりぱり・しゃきしゃき・かりかりが苦手な場合】
生野菜を食べてくれない子には、食材を小さく切ってよく火を通してから食べさせましょう。奥歯が生えそろっていなかったり、歯の生え変わり期だったりすると、繊維がうまくすりつぶせないため、苦手とする子もいます。調理の段階で繊維を切るなどして、簡単にすりつぶせるようにしてあげましょう
【ぐにゃぐにゃ・ねばねばが苦手な場合】
やわらかすぎる食材を気持ち悪がる子もいます。そんな子には火を通しすぎた食材は逆効果です。大きめに切ったり、生野菜で食べさせたりしましょう。ねばりのある野菜が苦手な場合には、ねばねば代表の納豆と合わせると意外と食べてくれます
【ほくほく・ざらざらが苦手な場合】
ジャガイモやカボチャが苦手な子は、むせそうになったり、飲み込みづらかったりすることで、苦手意識が強まることも。そんなときには油脂や乳製品と組み合わせ、舌触りをなめらかにしましょう。わが家の長男はカボチャが苦手なのですが、カボチャとべーコンを炒め煮にして生クリームを入れたものだと、たくさん食べてくれます
皿やカトラリーで「食べやすさ」を工夫してみる
食器ひとつ変えるだけで、食べるようになることがあります。
切干大根の煮物が苦手だった二男。それまではほかのおかずとワンプレートで盛りつけていたのを、手のひらサイズの小鉢に変えてみました。すると口元まで小鉢を持っていき、そこからかきこむようにして食べるように!まだ箸の使い方がうまくないため、切干大根をうまく持ち上げることができず、そのために食わず嫌いとなっていたのでした。
盛りつけ方や食器の形状、スプーンやフォークの握りやすさ…。大人からしたら些細なことですが、子どもにとってはじつは大問題ということがあるのです。
子どもの好き嫌いにつき合うのは、ゴールが見えない分とても大変なことです。けれど、ちょっとした工夫で突然解決できたりすることも。無理に食べてもらおうとすると大人も子どもも辛くなります。この際、「正解がなかなかわからない、長めのクイズ」だと思って(笑)、焦らずにいろいろ取り組んでみるといいでしょう。
●教えてくれた人
【和田順子さん】
会社勤務を経て、野菜ソムリエ、薬膳インストラクター、食育インストラクター、全国2人目のサルベージ・プロデューサーの資格を取得。札幌で野菜教室「
good food,good life」を主宰。ブログ「
good room,good life」