パティシエを目指してフランスに渡り、在仏5年めを迎えるラボレル友里恵さん。フランス人に囲まれた職場でパティシエとして働くかたわら、現地の最新の「食」をレポートします。今回は、フランスのカフェや家庭で定番の「シロップ」について。
フランスで愛されるフレーバーシロップ
フランスでは、子どもから大人まで親しまれているのがシロップ。日本でもコーヒーショップで、バニラやキャラメル味のものはよく見かけますが、こちらでは多種のフルーツを始め、ブラウニーやバブルガム味なんてものまでバラエティ豊富。
すべての画像を見る(全4枚)ちょうどカルピスのような要領で、水や炭酸水で薄めて飲みます。子どもはシロップを水や炭酸水で割ったものが大好き。1リットルで3ユーロ(330円)程度と、市販のジュースを買うより経済的なので、大抵の家庭に常備してあります。
なかでも一番人気はグレナデンと呼ばれるシロップ。本来はザクロ味でしたが、いつのまにかザクロと同じく赤い色のミックスベリー味になっています。ちなみにザクロ味はポムグレナド(pomme grenade)と呼ばれています。
シロップの楽しみ方あれこれ
シロップを水で割ったものをsirop a l’eau(シロ・ア・ロー)、レモネードで割ったものをdiabolo(ディアボロ)と言い、シロ・ペッシュ(桃のシロップ)やディアボロ・シトロン(レモンのディアボロ)など、飲みたいフレーバーと割り方を一緒にオーダーします。
ミントのシロップをレモネードで割った「ディアボロ・マント」は、カフェやブラッスリーにも並ぶフランスの夏定番の飲み物。
濃い緑色に最初はビックリしますが、飲むとスッと冷たく、夏の暑さを一気に吹き飛ばすのに最適です。
冷たいドリンクに合わせるだけではありません。フルーツ系のシロップをアイスやシャーベット、ヨーグルトなどにかけてフレーバーの変化を楽しむのもおすすめ。冬は、キャラメルやバニラ、シナモンなどのシロップをホットミルクやコーヒーに入れれば、カフェ風のおしゃれな飲み物に。
ビールにシロップ!? カラフルなフレーバーカクテルも
キリッとしたのど越しがたまらないビールも、フランス人の手にかかれば甘いカクテルに。フランスでは、ビールにシロップを入れるのも人気の飲み方。
甘いビール!?と一瞬ぎょっとするかもしれませんが、ビール独特の苦みが和らぎ、フルーティな味わいが女性にも好評。ちなみにビールにグレナデンシロップを入れたものは「タンゴ」、そこにレモネードをたしたものを「モナコ」と呼び、バーやカフェでよく見かける定番カクテルです。
自宅でもシロップがあれば、簡単にカクテルが楽しめます。日本でもモナン社のものが輸入食材店やちょっとお高めのスーパー、デパートで手に入るので、一度試してみてはいかがでしょう。
【ラボレル友里恵さん】
早稲田大学卒業後、かねてからの夢であったパティシエを志し、日本の製菓店で修行後、2012年に渡仏。リヨン・パリと修行を重ね、現在もパリのパティスリーで働く傍ら、2013年よりフランスの食文化を中心とした記事を執筆。週末はフランス人の夫とともに、おいしいものを求めフランスの地方を巡る日々