「わが家には、お風呂のフタも洗面器もイスもありません」。そう語るのは片づけのプロフェッショナルであるライフオーガナイザーの森麻紀さん。はじめはあまり疑問も持たずに持ち続けていたものの、よくよく考えてみると掃除が面倒なのと、意外となくても問題ないことに気づいたそうです。どんなものを手放したのか、教えてもらいました。

捨てても問題なかった「お風呂の3点セット」

なんとなく使っているお風呂アイテム。森さんは、どのように手放したのでしょうか?

●お風呂のフタ

まず私が最初に手放したのは、「お風呂のフタ」です。私と娘はお風呂に一緒に入るか、別々に入るときも大体続けて入ります。時間帯の違う夫はシャワー派なので、フタを使うタイミングがわが家には見当たらないのです。

お風呂のフタは使わなかったとしても、定期的に掃除をしないとあっという間にカビが発生してしまいます。もちろん、使わないとホコリだってかぶります。掃除をするためだけに持っているようなものだという衝撃的な事実にあるとき気がつき、使うのをやめました。

フック 以前引っ掛けてたハンガーフック

浴室の壁についているフタを留めておくためのフック(本来は下向きで使用)には、ハンガーフックを引っ掛けていました。せっかくあるので使いたくて掛けていましたが、今は何も掛かっていません。無い方が見た目的にもスッキリ。お風呂はゆっくりくつろぎたい場所なので、視界に不要なものは無い方がいいなと改めて思いました。

●洗面器

次に処分したのは、「洗面器」。体は素手で洗った方が肌にも優しいようなので、ボディタオルも持たなくなり洗い桶として使うこともなくなったわが家。以前は、掛け湯用に使っていましたが、気づくと浴槽に浸かる前は毎回シャワーですませるようになっていました。

エコではないかもしれませんが、あまり使わない洗面器が置いてあると、カビの心配も。その分、掃除の手間がかかり洗剤や水を余計に使うことにもなりかねません。

洗面器

当時小1の娘が、浴槽の中で洗面器を使った「おならごっこ(笑)」をしていましたが、そのブームが去ったころ、唯一洗面器を使っていた娘に相談し、決定。夫はそもそも使わないので、なくなったことにも気がづきませんでした(笑)。

“現代人の入浴事情2012≪東阪比較編≫”によると、東京圏ではそもそも洗面器を「使わない・家にない」という回答が、大阪圏に比べて1割以上高く、とくに10代においては4割以上が洗面器を使っていないという結果になっているそうです。9年以上前の調査ですが、年々増えている可能性は高いのではないでしょうか。

●お風呂のイス

最後に処分したのは「イス」です。こちらも夫は使っていません。使っていたのは、ほぼ私(だけ)。にもかかわらず、細かいところの汚れは気になる形状で場所もとる。掃除のときに移動させる手間もあり、いつかは買い替え時期もやってくるもの。

お風呂場では、イスに座ってゆっくりするよりも、さっさと浴槽に浸かりたいので、立ったまま洗ってしまうこともありました。そのため、あまり必要ないのでは…? と思っていたのですが、なかなか処分に踏み切れなかったのは、急な“ぎっくり腰”を心配していたから(苦笑)。

イス

でも、よく考えてみたら、以前ぎっくり腰になったときは、イスの高さがこれだと低く、結局、浴槽のふちに座っていたのです。
でも、また座るかも…という思いもあり処分のふんぎりがつかなかったのですが、普段使わないもののメンテナンスに疲れ、処分に踏み切れました。

●捨てなくてよかったもの

賃貸なので捨てるわけではありませんが、無くしてしまってもいいかなと思ったのが「排水口のフタ」です。排水口のゴミ受けは、付属のプラスチック製だったので、ヌメリ防止のためステンレス製のものと交換していたのですが、フタの掃除が面倒くさい! フタが無ければ、掃除もしなくていいし、髪の毛も毎回取りやすそう…。そう思って、試しに外して過ごしてみたら大失敗!

排水口

足を2回もくじきそうになり危険でした。じつは、お風呂に入るときのことは考えていましたが、お風呂掃除や浴室で洗濯物を干すときのことを考えていなかったのです。とくに浴室スリッパを履いていると、余計に段差に引っかかる感じが怖く、早々にお試し終了となりました。
わが家の場合は、排水口の位置が問題だったようです。排水口の部分が少し隠れるような位置にあればよかったのかもしれません。

●手放したら浴室が広くなり掃除もラクに

3点セットに関しては、どれも無くしてから5年以上経ちましたが、全く困らず、浴室が広くなり掃除もラクになって快適になりました。
手放すことに興味はあっても、一気に無くしてしまうのが不安な方は、捨てずに1週間ほど、ひとつずつからでも、それが無い生活を試してみてはいかがでしょうか?