●家も年数を経ればガタがくる

住宅
建築費用のみならず重くのし上がってくるのが維持費(※写真はイメージです)
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もう一つ、40代で思案すべき問題は、住宅です。

「40代ともなれば、家を借りるか買うかの思い定めの時期でしょう。どちらがいいかは、その人の事情や価値観によりますが、私の経験から言えることは、『マンションにせよ戸建てにせよ、“自慢の家”は、20年経つと金食い虫になる』ということ。

いかなる凝った建築でも、家を建てて10年20年経てば、毎年のように1回数万円もの修理代が飛んでいきます。一般的な木造家屋は至る箇所にひびが入り、タガが緩み、30年も経てば修理するところだらけ。今年はこっちの屋根かと思ったら来年はあっちが雨漏りしたとかで、人の体と同じで、ガタがき始めると、あちこちガタが来ます。贅を尽くした家は手が込んでいますから、なおさら修理が大変でしょう。家も車も人間も、年を経れば経るほどガタがきて費用がかかるんです。

それでもマンションは、強制的に修繕積立金が差し引かれるから幾分マシな方。戸建ては自分で積み立てないと、あとが大変です。かくいう私も、80歳を超えて、修理のかからない家を新築しました。おかげで老後の貯蓄はすっからかん。高級有料老人ホームで悠々自適に過ごそうという夢は消えました(笑)」

●公的住宅を借りて“リッチ”に生きる道も

一方、樋口さんの周りを見れば――。

「70代、80代になったちょっと後輩世代を見ていると、借りる選択をしている人の方がむしろ豊かに暮らしています。ただし、それには条件があります。自治体が運営する市営住宅やサービスつき高齢者向け住宅(サ高住)などの公的住宅、あるいは半公的住宅であること。また、そうしたところは所得審査や抽選などがありますから、当たるまで辛抱強く申し込み続けることです。

大変な競争率ですが、当たれば、礼金などの初期費用があまり多くはかからないだけでなく、毎月の賃料が市場価格より低い分、大得です。

私の友人で、サ高住の公的住宅への申し込みが通り、所有することをやめた方がいます。彼女は元地方公務員の独身。収入を全部、年金型の民間保険で貯蓄していたので、定年後は毎月入る年金保険から家賃を払い、旅行三昧だそう。『私、家は持たなかったけど、一年中北海道でもハワイでも行きたい放題よ』ですって。金食い虫の家に老後資金を取られた身としては、憎らしかったわ~(笑)」

生涯家賃を払える収入や年金さえあえれば、借りて“リッチ”に暮らすという選択肢もできます。そのためにも今から働くこと。そして公的年金や民間の保険、積み立てなどを活用して、蓄えておくことが必要なのですね。早速今日から情報収集を!