リビングでのくつろぎやすさを重視したいなら、畳リビングも検討してみましょう。家族が気軽に寝転べるうえに、子どもの遊び場にも。「フローリング+ソファ」のリビングに比べて、ぐっと親しみやすさがあります。しかも、オムツ替えにも使いやすく、大人数でのパーティに対応しやすいなど、機能的なメリットもいっぱい!そこで今回は、畳リビングのすぐれた点と、実際のプランについて解説します。教えてくれたのは、建築家の新井崇文さん。家を建てる人、リフォームを考えている人は、ぜひ参考に。
すべての画像を見る(全17枚)畳リビングで実現できる暮らしのメリット
まずは、畳の特長の説明を。「肌ざわりがよく、やわらかく、座ったり寝転んだりするのが快適」ということが挙げられます。では、このような畳を敷き詰めた「畳リビング」では、どのような暮らしのメリットが実現できるのでしょうか。
寝転んでくつろぎやすい
食事のあとなど「ちょっと眠くなったのでリビングで寝転んでくつろぎたい」というのはよくあること。でも床がフローリングのリビングでは、ソファを占有して横になるしかありません。その点、畳リビングではどこでも自由に寝転んでくつろぐことができます。
大人数の来客やパーティに対応しやすい
大人数の来客やパーティの場合、ダイニングテーブルだけでは全員が収まりきらず、リビングでも床に座って団らんが行われるのはよくあること。もしもリビングの床がフローリングだったら、長時間座っていると疲れてしまうことも。その点、畳リビングなら座り心地がよく、床に座った時の雰囲気も楽しめます。長時間でも、くつろいで過ごすことができます。
こたつの設置にも適している
床座の畳リビングでは、こたつを設置しても雰囲気よく空間をまとめることができます。
赤ちゃんのオムツ替えがしやすい
赤ちゃんのいる家庭で、日々行われるオムツ替え。畳リビングなら安心して赤ちゃんを床に寝かせることができ、安全で快適にオムツ替えすることができます。
子どもの遊び場にもなる
子どもがまだ小さいうちは、個室よりも親の目の届くリビングで遊ぶケースが多いもの。子どもは這ったり、座ったり、寝転んだり、とかく床に近いところで過ごす習性があります。「肌ざわりがよく、やわらかく、座ったり寝転んだりするのが快適」という畳リビングなら、子どもの遊び場としても最適です。
では、畳リビングで実現できる暮らしのメリットが見えてきたところで、次に具体的な事例を見ていきましょう。
【事例1】全体を小上りとした畳リビング
このお宅は戸建て改修の事例です。ダイニングに隣接するリビング全体を畳リビングとし、冬にこたつを設置してくつろぎたい、という住まい手の要望を実現しました。
畳リビングの上部は吹抜となっていて、周りが建て込んだ市街地でも、上からの光が入る設計となっています。
ダイニングから40cm上がって畳リビングという構成。畳リビング全体が小上りとなっています。ダイニングでイスに座っている人の目線と、畳リビングで床に座っている人の目線との高さが合い、互いに会話しやすい仕掛けに。また、この段差部分は腰かけて話をするにもちょうどよい場所となっています。
畳リビング全体を小上りとしていること生かし、下部を収納スペースとして活用。畳を上げて取りはずせば、普段使わないものを収納することができます。
【事例2】畳ソファコーナーも設けた畳リビング
このお宅は2階にLDKがある新築戸建ての事例です。2階へ上がるとダイニングから畳リビング、バルコニーへと空間が連続していきます。
ダイニングから2段(40cm)上がって畳リビングという構成。畳リビングの先にバルコニーやロフトもあり行き来が頻繁になるため、ここは上り下りのしやすさに配慮して2段上がりの形状としました。この家でも畳リビング全体が小上りとなっていることにより、ダイニングでイスに座っている人の目線と、畳リビングで床に座っている人の目線との高さが合い、互いに会話しやすいよう配慮しています。
畳リビング上部は勾配天井となっており、上部のロフトに空間が連続しています。畳リビング全体を小上りとしたため、ロフトへの階段の段数も抑えることができました。
畳リビングの奥にはさらにもう1段(35cm)小上りとなっている部分があります。ここはさながら「畳ソファコーナー」ともいえるニッチのような空間。3方向に背もたれをつくりつけているので、寄りかかって読書するにも快適です。
壁にある背もたれは、本をディスプレイすることもできる形状に設計。
このように並べてあれば、本を選んで手に取るのが楽しくなるもの。子どもが自然と本に興味を持ちやすくなる環境になります。
畳リビングの外にはウッドデッキのバルコニーが連続。床高さをそろえることで、内外の連続した、広がりの感じられる空間となっています。
【事例3】リビングの一角に設けた天蓋つきの畳小上り
こちらはマンションの1室改修の事例です。もともとリビングに隣接して和室がありましたが、活用されていないため撤去。広がったリビングの一角に、畳小上りのコーナーを設けました。
ゴロンと横になれるスペースが欲しい、という住まい手の要望を実現した畳小上り。畳小上りには天蓋を設け、茶室のようなこじんまりしたこもれる感じのスペースにしました。
外国からの留学生が泊まりにくることも多いということで、天蓋にはすだれロールスクリーンを設置しました。この畳小上りは来客の就寝スペースとしても活用されています。
ちなみに、スクリーンを上げると、このような様子。
畳リビングという選択肢にはまだまださまざまな可能性がありそうです。これを参考に家族の生活スタイルに合った畳リビングの形を、思い描いてみてはいかがでしょうか。