新築や改築時にシンボルツリーを植えることが多くなりました。その目的やテーマは、リビングやダイニング窓外に植えて季節を楽しみたい、建物のおしゃれなアクセントにしたいなどさまざま。そもそもどんな樹種を植えるといいのでしょうか?植えるといい場所も知りたいところです。シンボルツリーの楽しみ方を、エクステリア・ガーデンデザイナーとして活躍している山本結子さんが教えてくれました。実際に手掛けた事例の写真も必見です。

住宅でもシンボルツリーが人気
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目次:

シンボルツリーってどこに、何を植えればいいの?ダイニングの窓前に! 毎日眺めて一年じゅう楽しめるジューンベリー家の外観もすてきに!外から見ても室内から見ても美しいエゴノキ建物のくぼみ部分も有効。おすすめはハート型の葉がかわいいカツラエントランスホールでいやされる!さわやかなアオダモ

シンボルツリーってどこに、何を植えればいいの?

新築や改築時に「シンボルツリー」を植えることが当たり前のようになってきました。エクステリアやガーデンのプランニングをする際にもとても大切な役割を担っています。シンボルツリーを植えるメリットはたくさんありますが、おもなものは以下の3つです。

  • 住宅や建築を象徴し主役となる樹木。建物に彩りを添える
  • 目隠しやプライバシーの確保、日除け、風除け、延焼防止など
  • 新築や誕生祝など家族の記念樹、愛でて楽しむ

選ぶポイントはさまざま。玄関前に植える場合と庭に植える場合でも異なります。まずは植えるテーマやシーン別にご紹介してみましょう。

ダイニングの窓前に! 毎日眺めて一年じゅう楽しめるジューンベリー

ダイニングの窓前に植えたジューンベリー

シンボルツリーは高木(3m以上)のことが多いため、庭の角や家から遠い場所に植えがちです。庭の広さにもよりますが、ここでは毎日眺めることができるダイニングの窓前に植えました。

ダイニング前のシンボルツリーを庭から見たところ

ジューンベリーは春、桜が咲く頃に白く美しい花が咲き、夏にはジャムもつくれるほど鈴なりのかわいい実がなります。秋の紅葉も美しく、落葉した樹形も美しい一年じゅう楽しめる人気の樹木です。

そのジューンベリーの木を食卓から毎日眺めることができます。夏は葉を茂らせ木陰とつくって日除けに。冬は葉を落とし日差しを室内に取り入れてくれることもポイント。

家の外観もすてきに!外から見ても室内から見ても美しいエゴノキ

外から見ても中から見ても美しいエゴノキ

道路沿いにシンボルツリーを植える場合、敷地の隅や隣地際など「邪魔にならないよう」と端に追いやっている家があります。しかし隣地際だと落ち葉や枝がお隣に伸びてしまわないか気になりますし、外観とのバランスも取りにくくなることも。このお宅ではエゴノキを家の中心になるように植えました。

エゴノキは落葉高木。春にみずみずしい新緑が芽吹き、白やピンクの小さく可憐な星型の花が咲き誇ります
葉はその後太陽を浴びて深い緑色に。窓を開ければ雑木林の中にいるような風が抜けます。

エゴノキ以外でも道路に面した窓前に植えることはメリット大。室内からは窓外に緑が見えて心地よく、外から見ても常緑樹なら目隠しに、落葉樹なら季節感を演出し住まいを彩ります。

建物のくぼみ部分も有効。おすすめはハート型の葉がかわいいカツラ

建物のくぼみ部分にシンボルツリーを植えるのもいいアイデア

建物のくぼみ部分にシンボルツリーを植えるもの有効です。上の写真は緑を植えるために敷地をセットバック(後退)させて、塀やフェンスの足元をカラーリーフでやわらかく緑化しています。

その後ろのニッチのようなスペースにカツラの木を植えました。カツラはハート型の葉がかわいく、秋に黄金色に紅葉します。葉っぱには甘い香りがするのが特徴。さわやかに建物にアクセントと彩りを添えてくれています。

目隠しが必要ない場所には、このように落葉樹で季節感を楽しんでみてはいかがでしょう。

エントランスホールでいやされる!さわやかなアオダモ

エントランスホールの窓から見えるアオダモ

玄関のドアを開けると坪庭のような緑のコーナーが目に飛び込んできます。「ピクチャー・ウインドウ」と言われる絵画のような効果を狙った窓。その先にシンボルツリーを植えると家族が帰って来たとき、ゲストが訪れたときに緑の持つ力にいやされるはずです。

この場所ではアオダモを植えました。白い斑(まだら)模様の幹肌が特徴で、樹形が美しい樹木。和の家にも洋の家にも合い、新緑のさわやかなグリーンから真っ赤な紅葉まで季節ごとに楽しめます。

昼間は光を取り入れ、ライトアップされた夜は雰囲気をつくり出します。きっとお気に入りの空間になるはず。気をつけなければならないのはシンボルツリーを植える土の高さ。地面の高さと室内の高さには50㎝以上の高低差があるため、足元の下草は近くで覗き込まないと見えないことも。窓のサイズや視線、距離など、専門家と相談して植えてください。

●教えてくれた人/山本結子さん
エクステリア・ガーデンデザイナー。グランドマム所属。住宅、街づくりの枠を超えた、数多くの景観設計・施工に携わる。コンテストの受賞も多く、日本庭女子会のメンバーとしても活躍。E&Gアカデミー講師として後進の指導も