ゆるやかな曲線を描く壁がアクセントになった住まいで、ひときわ目を引くのがこちらのキッチン。4mというワイドスパンの壁付けで、家族みんなでキッチンに立ってもゆったりと使えます。あえて対面ではなく壁付けにしたことで、ダイニングキッチンの空間がより広く感じられるように。しばらく住んだマンションをリノベーションして快適に生まれ変わったYさんのお宅を訪ねました。
すべての画像を見る(全15枚)空間にすっと馴染む家具のようなキッチン
キッチンは暮らしに馴染むよう、木の温もりを感じられる家具のようなデザインに。クールな印象のステンレスのワークトップや躯体現しの壁が空間を引き締めています。
収納が豊富なので、キッチンに生活感が出にくく、いつもきれいな状態を保つことができます。
「使っていない部分もあるし、まだ余裕があります」(妻)
シンクの横にはキッチン家電が使えるようにコンセントを設置。ステンレスのシンクはワークトップと一体になっているので、手入れがしやすく、見た目もスッキリ。
シンク上の壁面を生かし、棚板を取り付けてお気に入りの食器などをディスプレイ収納しています。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫40代 妻40代 長男 長女
▼リノベを選んだ理由
マンションを購入してしばらくそのまま住んでいたが、家族が集まると窮屈に感じる対面キッチンを不便に感じていた。長女の入学を機にリノベーションを決意。夫の同級生でもある御手洗龍さんに設計を依頼した。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/74.20㎡ 工事費/1936万円(税・設計料込み)
アール壁に囲まれた、風と光が通る空間
LDKはゆるやかな曲線を描いた壁で囲まれています。壁はグレーがかった白の塗装仕上げ。上部を開けることで空間に一体感をもたらしました。
窓側にゆったり配置されたソファは造作。下部が収納になっていて、使用頻度の少ないものを収納しています。
各個室には個性をもたせて
アール壁で仕切られた個室。写真右手は夫、左手は長男の個室です。
こちらは夫の個室。構造柱を利用して壁一面に本棚を造作しました。段ごとに棚板の奥行きを生かし、大小さまざまな本を収納したり、趣味で集めていた小物を飾ったりしています。
こちらは長男の個室。ほどよいこもり感があります。
北側のスペースは、おもに長女と妻が使っています。外の景色がより近くに感じられるように、壁をふかしてアルミサッシが見えないよう工夫しました。
隣接するサニタリーは、室内の雰囲気に合わせて、落ち着いたデザインとしています。
家具調のキッチンや、足触りの良い無垢材など、木の風合いが存分に生かされた住まいは、Yさん家族に格別な心地よさをもたらしています。
間取り図(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計/御手洗龍建築設計事務所
1978年東京都生まれ。2002年東京大学工学部建築学科卒業、'04年同大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。伊東豊雄建築設計事務所を経て、'13年御手洗龍建築設計事務所設立。住宅の設計からマンションリノベーションまで幅広く手掛ける
撮影/小川 聡 ※情報は「リライフプラス vol.39」掲載時のものです