妻がフリーのフォトグラファー、夫が会社員の長谷川さん夫妻。購入した中古マンションをリノベーションしたときに、妻専用のワークスペースをつくりました。以前は洋室だったその場所は、玄関ホールとオープンにつながる土間空間に一新。テレワークが普及し、自宅にワークスペースが欲しいという希望が増えている今、参考にしたい長谷川邸のケースを紹介します。
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4畳弱でも機能的!パソコンも機材も置ける土間空間が妻の仕事場妻のワークススペースの隣には、夫の趣味室も実現既存の和室を撤去して、ゆったりくつろげる広々としたLDKに個室や水回りにはこだわりの建具&内装材をセレクト間取り(リノベーション前後)4畳弱でも機能的!パソコンも機材も置ける土間空間が妻の仕事場
玄関近くにあった洋室を撤去して設けた妻のワークスペースがこちら。床は玄関ホールから続く土間仕上げです。
4畳に満たないコンパクトなスペースですが、妻が快適にパソコンでデータ処理作業ができ、造作棚のおかげで撮影機材もすっきり収納できます。
大小さまざまなサイズの造作棚に、撮影機材がきれいに納められています。事前にしまうものをリストアップして、それらに合わせて設計しました。
上部の扉付きの部分には、書類やストック品を収納しています。「入れるもののサイズに合わせてつくってもらったので、使いやすいです」と妻。
床の傷や汚れを気にしなくていいのが土間空間のメリット。「機材を持ったまま出入りができるのも便利です」と妻。昼間は明るく居心地がよく、いちばんのお気に入りの場所になったとか。
撮影した画像の調整や整理など、細かいデスクワークをすることが多いという妻。専用のデスクスペースを確保でき、作業がここだけで完結できるようになりました。
実は妻はリノベ前、「作業はキッチンや寝室の片隅でできればいいかな」と思っていたそう。リノベでLDKとは切り離されたワークスペースができ、オンとオフの切り替えが容易になりました。
レトロな味わいのブラケットは、あえて屋外用の照明器具をチョイス。土間と相性がよく、どこかの街角のような印象を演出しています。一方、デスク回りを照らす天井の照明は、機能性重視で蛍光灯にしました。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫36歳 妻37歳
▼リノベを選んだ理由
それまでは2DKの賃貸マンションに暮らしていた長谷川さん夫妻。手狭だったため、もう少し広い持ち家を、と考えるように。希望していた「ゆったりくつろげるリビング」が叶えられそうな約74㎡、3LDKの中古マンションを購入。細切れだった間取りを広いリビングのある間取りに一新するため、リノベーションを行った。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/74.05㎡
妻のワークススペースの隣には、夫の趣味室も実現
リノベで妻専用のワークスペースを設けたのと同時に、夫専用のスペースも実現!ギター演奏などを楽しめる夫の趣味室を妻のワークスペースの隣に設けて、2室を室内窓でつなぎました。
コンパクトながらも夫婦それぞれに専用スペースができ、一人で過ごす時間も充実。それぞれが仕事や趣味に没頭していても、室内窓を介してお互いの気配が適度に伝わります。
既存の和室を撤去して、ゆったりくつろげる広々としたLDKに
居住空間で長谷川さん夫妻が叶えたかったのは「ゆったりくつろげるリビング」。元のLDKスペースに隣接した和室を取り込んで広さを確保しました。床にはダメージ加工のパイン材を採用してラフな印象に仕上げています。
白く塗装したコンクリートブロックの腰壁や、コンクリート板のテーブルで構成された個性あふれるキッチン。
吊り戸棚も備えた背面カウンターや、エキスパンドメタル板(メッシュ状の金属板)の吊り棚も設置し、収納量も十分です。
自宅で人物や小物の撮影をすることもあるため、ダイニングの壁は下地のコンクリートが透ける程度に塗装。質感のある背景として使えるようにしました。
チェッカーガラスの室内窓は、隣接する寝室とLDKを緩やかにつなぎます。室内窓の高さは、リビング側にディスプレイラックとターンテーブルを置く前提で決めました。
個室や水回りにはこだわりの建具&内装材をセレクト
ベッドを置ければ十分と考えて、ミニマルな空間にした寝室。隣接するLDKから空調の冷気や暖気を得られるように、縦軸回転タイプの室内窓を採用しました。
衣類などの収納を1か所に集約できるよう、広めに設計したウォークインクロゼット。床はLDKと同じダメージ加工を施した無垢のパイン材を採用しています。
白い長方形タイルを馬目地貼りで仕上げた洗面室。アイアンの棚やタオル掛け、黒く塗装した木枠のミラーを合わせて、シャープな雰囲気にまとめました。
トイレの壁も長方形タイルを馬目地貼りに。タイルでまとめた空間の雰囲気を生かすため、吊り戸棚などは設けずに収納はシンプルなラックのみにしました。床は「市松模様が大好き」という妻の希望を反映しています。
打ち合わせを進めるなかで「ワークスペースもつくれる」とプランナーが提案してくれたおかげで、妻がオンとオフの切り替えをしやすい住まいになった長谷川邸。当初からの希望だった広々としたLDKも叶えられ、暮らしの質が格段に上がりました。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工/リボーンキューブ
京都を中心にリノベーションの企画・設計・施工を手掛け、代表の荒井弘さんがデザインを担当。不動産の売買・仲介もしており、中古物件探しからプランニング、住宅ローン斡旋、アフターサービスまでトータルにサポートする。 IKEA キッチン正規取扱店でもある
撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.21」取材時のものです