ともに30代のSさん夫妻リノベのテーマは「静謐(せいひつ)」。DIYも取り入れながら自分たちらしい住まいを実現しました。細かく区切られていた間取りを1LDKに変更。玄関から土間へと続く空間は仕切りをつくらず、自由度の高いフリースペースとして活用しています。20畳超えの広々としたLDKは大きな窓を生かし、光と風が通る開放的な空間を実現させました。
すべての画像を見る(全24枚)インテリアが引き立つギャラリーのような空間
シンプルなレイアウトに白、グレー、木目と色彩を抑えた、インテリアが引き立つギャラリーのような空間。アートと並ぶように置かれた壁付けテレビも絵画のよう。
ビデオデッキを収納しているフローティングタイプの収納棚は夫の手づくり。
塗装の白壁と部分的な躯体現しがアクセントに。壁の塗装はDIYで仕上げました。
植木鉢を置いているのは「カホン」という打楽器。スタイリッシュなデザインでインテリアとしても人気です。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫30代 妻30代
▼リノベを選んだ理由
「シンプルで穏やかな暮らしをしたい」と思っていた自分たちの理想と、担当デザイナーから提案されたリノベーションコンセプト=「静謐」がぴったり合っていたため
▼住宅の面積やコスト
専有面積/75.60㎡ 物件価格/1960万円 工事費/1220万円(税込み、設計料別)
オープン収納で整理上手に
リビングと向かい合うキッチンは「ちゃんと料理をつくりたかった」という妻の希望で、収納力と使い勝手を重視。食器が並ぶモルタルのバックカウンター内部に無印良品のシェルフを納め、モノに合わせて収納スペースを自由に変えられるようにしました。
「見えることで緊張感が生まれ、整理を心掛けるようになりました。モノも厳選して購入するようになりましたね」(妻)
DIYでしつらえたバックカウンター。ラフな質感のモルタルの天板が魅力的。その下に無印良品のシェルフが納まります。
シェルフには手づくりの梅干しやラッキョウ漬けなども。
シンクやコンロ下には調理器具を収納できるスペースを確保。
好きな器や道具を眺めながら過ごせるキッチンは妻の憩いの場所。やかんやおひつなど、一見無造作に置かれた調理道具にもセンスが光ります。
ダイニングテーブルは、一枚板の天板を自分たちで選んでオーダー。リモートワークになった夫の作業場としても活躍しています。
仕事の合間の休憩タイムには、夫が淹れる豆から挽いた本格的なドリップコーヒーを。
ダイニングテーブルのペンダントライトはやわらかな光が気に入り、行きつけのショップで購入したもの。
夫がコレクションしているCDを収めたシェルフはキッチン収納と同じく無印良品のもの。
見え隠れのバランスが絶妙なクロゼット
玄関のフリースペースにはウォークスルータイプのクロゼットを配置。双方向からアクセスできる本棚が間仕切りも兼ねています。
クロゼットには日常的に使う洋服のみを厳選して収納。ギャラリーのようなスペースに合うよう、インテリア性の高い目隠しカーテンを設置し、ショップのディスプレイ風にコーディネートしています。
土間に置いたスツールは夫のリラックスタイムの必需品。
洗面室はランドリールームを兼ねたスペースに。躯体現しの壁でインダストリアルなムードを演出しました。
サニタリースペースは白を基調にシンプルに。
リビングの隣にあるサニタリースペースは日当たりの悪さを解消するため、小窓をつくってリビングからの日差しを取り入れて明るさをキープしています。
玄関横の和室スペースは寝室に。床下収納を設けたことで小上がりのような段差ができ、茶室のような雰囲気に。
床下収納にはオフシーズンの衣類や生活用品をしまい、整った空間をキープしています。
自宅で過ごす時間が増え、改めて住環境の大切さを実感したという夫妻。「夫がテレワークになり、ずっと一緒に過ごしていてもケンカはほぼしないですね」(妻)。愛着のあるモノに囲まれた静謐な住まい。豊かな夫婦の時間が育まれています。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工 /nu(エヌ・ユー)リノベーション
一人ひとりの価値観を反映したオリジナリティのある住まい。そして、そこで過ごす“いい時間”の創造をコンセプトに掲げる。リノベ向き物件の仲介はもちろん、設計前にはしっかりとヒアリングを行い、高いデザイン力で家族の理想をカタチに。施工実績は約1000件。
撮影/小川 聡 ※情報は「リライフプラス vol.38」掲載時のものです