暮らしの中心にある大きな可動式ダイニングテーブルは、料理と食事だけでなく、カメラマンである妻の仕事場としてもマルチに活躍しています。1975年築の中古マンションをリノベーションしたTさんの住まいは、引き戸を開け放せばワンルームとして使うこともできるフレキシブルなつくり。広さは約60㎡とコンパクトですが、スペースを何通りにも使える工夫がいっぱいです。さっそく見せていただきましょう。

可動式のワイドなダイニングテーブル
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目次:

多用途に使えるワイドなダイニングテーブル寝室は用途によって引き戸を使い分け光の届くワークスペース兼クロゼット洗面スペースも仕切らずオープンに間取り(リノベーション前後)

多用途に使えるワイドなダイニングテーブル

ダイニングキッチンが中心のワンルーム空間

約60㎡ある空間全体につながりをもたせたこちらの住まいは、ワイドなダイニングテーブルが主役です。普段はダイニングキッチンにあって家族が集う場所となっていますが、ゲストが来たときはリビングに移動することも。

玄関とLDKを仕切る壁や廊下はありませんが、腰高のカウンターを設けているので、玄関からキッチンが丸見えになりません。垂れ壁とドライフラワーでゆるく場を分けています。

面材のみリフレッシュしたキッチン

コストを抑えるために、水回りの設備機器はなるべく既存を利用しました。キッチンは扉をラワン材に付け替えることで、温かみをプラス。

適宜引き戸で仕切れる寝室とワークスペース

ダイニングテーブルはホワイトアッシュの厚い無垢材で造作。食事以外にも、調理台や妻の仕事机としてなど、様々に利用。寝室とワークスペースの引き戸を開放すれば、キッチンから住まい全体を見渡せます。

写真スタジオにも使う天井の高いリビング

リビングは天井が高く、自然光が入る明るい空間。既存の天井をはがして、躯体のコンクリートを白くペイントしました。「小舟写真室」としてアンティークを中心とした個性的な子ども用の着物を豊富に取り揃え、着付けから撮影までを手掛ける妻のスタジオとしても使用しています。

【この住まいのデータ】

▼家族構成
夫37歳 妻37歳 長男4歳

▼リノベを選んだ理由
子どもの保育園を変えずに、広い住まいに引っ越したい、と物件探しをスタート。エリアや予算、広さの兼ね合いで当時築40年のマンションをリノベーションすることに。

▼住宅の面積やコスト
専有面積/60.28㎡ 工事費/480万円(税、設計料込み)

寝室は用途によって引き戸を使い分け

壁に引き込める寝室の引き戸

リビングに隣接している寝室は、引き戸で仕切ることができます。引き戸が不要なときは水色の壁の中に引き込めばスッキリ。

ワークスペースに光を届ける大きな室内窓

寝室にはベッドを置いていません。布団を片付ければ子どもが思い切り遊べる場所に早変わり。

光の届くワークスペース兼クロゼット

格子窓を設けたワークスペース兼クローゼット

引き戸を開ければオープンスペースに、来客時は生活用品を仮置きして隠し場所に、とフレキシブルに使っているワークスペース。デスク前には採光のために格子窓を設けました。クロゼットは亜鉛メッキのパイプを付けたオープンタイプなので、手持ちの服がひと目で把握できます。

引き戸で仕切れるワークスペース

引き戸を閉めれば、生活感のあるスペースをさっと目隠しできます。

洗面スペースも仕切らずオープンに

ロールスクリーンで仕切った水まわり

洗面スペースにはドアを付けずオープンに。必要なときだけロールスクリーンを下ろしています。

鍛鉄作家作によるトイレのサイン

トイレのドアや玄関収納の扉など、違和感が少ない物はそのまま既存のものを利用しました。「トイレ」のサインは鍛鉄作家の友人の作品。

腰壁とドライフラワーで目隠し&ゾーニング

家にいるほとんどの時間をここで過ごしているというワイドなダイニングテーブル。「私たちには思いつきもしないアイデアでしたが、このテーブルがなかったら、今頃どうなっていたんだろう?と思うくらい、ここが暮らしの中心になっています」と妻。開放的な住まいで、暮らしも仕事もマルチに楽しんでいるTさん夫妻でした。

間取り(リノベーション前後)

リノベーション前の間取り図

リノへーション前

リノベーション後の間取り図

リノベーション後

設計/ 佐賀・高橋設計室
1967年東京都生まれ。’89年佐賀和光+エー・アートに入社。’92年佐賀氏の個人事務所に勤務。事務所を引き継ぎ、現在に至る。住む人のライフスタイルに合った、シンプルでバランスのよい設計を心掛け、季節、風や光、周辺の景色などが感じられる、大らかで気持ちのよい空間を提案している。

撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.22」取材時のものです