リノベーションというと、大胆な間取り変更をイメージする人も多いかもしれません。ですが、間取りを大きく変えなくても、設備や建具などを変更することで、住みやすさは格段にアップします。Sさん夫妻のお宅はその好例といえる住まい。結婚を機に物件を探し、家族が増えても安心な約80㎡の中古マンションを購入してリノベーションしました。さっそく見せていただきましょう。
すべての画像を見る(全17枚)お気に入りは夫婦で作業しやすい機能的なキッチン
夫婦で作業するのにぴったりのオープンなキッチン。ダイニング側にカウンターを張り出させ、天面に余裕をプラス。その下は飾り棚&本棚にしました。
キッチンは、リノベを担当したフィールドガレージオリジナルの扉材と、オーダーキッチンメーカー・エクレアのパーツを使って家具調の仕上がりに。モザイクタイルの間仕切りの奥にはパントリーも備えています。「Ⅱ型キッチンにしたので作業しやすいんです」と妻。
美しくディスプレイされた壁面側。濃い塗装色が空間に奥行き感をプラスしています。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫38歳 妻36歳
▼リノベを選んだ理由
数年間の同居を経て、結婚を機に物件購入+リノベを決意。物件探しからリノベまでワンストップで依頼できる点にも魅力を感じ、フィールドガレージに依頼した。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/79.13㎡ 築20年(平成9年築) 工事費/1300万円(税・設計料込み、施主支給あり)
穏やかな光が入る落ち着いたリビングダイニング
リビング側の天井は板張りにして、他のエリアと雰囲気を変えました。窓はすべて二重窓仕様にして断熱性をアップさせました。結露予防にも役立っています。
インダストリアルな雰囲気のペンダントライトがダイニングのポイントに。ダイニングは北向きの窓に面しているため、穏やかで安定した光が入ります。
室内窓とガラスドアが奥まで光を取り込む
LDKの出入り口は廊下に光を導くガラス入りのドアを採用。コーナー窓の奥は洗面室で、この窓も開放感に一役買っています。
洗面室側からコーナー窓を見たところ。同じ部屋にいなくても、家族の気配がほどよく伝わります。
洗面ボウルはセラトレーディング、水栓はサンワカンパニーのもの。ツートンにした壁のタイルが目を引きます。
トイレは、位置はそのままに空間の向きを変更してタンクレスタイプの便器に交換。上部にオープン棚を設置してスッキリさせました。
ゆとりを感じられる空間構成で広々と
正面のガラス入りドアからの光が迎えてくれる玄関。天井の照明は人感センサーを搭載しています。オープンな下駄箱は上部のみ扉つきにして「隠す収納」も可能に。
玄関土間は、隣室に一部食い込む形で面積を拡大。姿見や植物を置いて、ゆとりの感じられるコーナーに仕立てました。
壁の上部にフィックスの室内窓をつけて、採光性を向上させた寝室。壁は落ち着いたカラーの塗装仕上げ。床は足触りのよいカーペットに。
物置だった部屋は、棚とハンガーパイプを設置して本格的なウォークインクロゼットにつくり替えました。
大きな間取り変更は行わない代わりに、キッチン設備の充実、玄関土間の拡大、室内窓の設置などを行い、内装や水回り設備もすべて変更したS邸のリノベ。東向きの物件のため冬の寒さを心配していましたが、床暖房やインナーサッシでしっかり対策。快適性が確実に向上し、長く安心して住める新居となりました。夫婦でキッチンに立つこと機会が増えて、「家飲み」の時間を楽しんでいるそうです。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工/フィールドガレージ
自由な暮らしを提供したいという思いから、2004年にリノベーション専門の設計事務所を設立。現在は工事の請負、不動産仲介も手掛け、リノベ向きの物件探しからローン審査・売却、賃貸管理のお手伝いまでトータルにコーディネートしている
撮影/水谷綾子 ※情報は「リライフプラスvol.26」取材時のものです