Mさんファミリーが暮らすのは、妻の実家だった新宿区のヴィンテージマンション。玄関は1階にあり、階段を上がった2階部分が住居と、ちょっとユニークな構造になっています。リノベでは、既存の家具を生かしてヴィンテージな趣きを大切にしました。正面の重厚感ある造作のカップボードは、先々代の住み手が設置したもの。家具がリビングダイニングと奥のキッチンとの間仕切りとしても機能しています。

ヴィンテージな趣きあるLDK
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目次:

既存のディテールを生かしてヴィンテージな趣あるLDKに木目柄のキッチンとタイルが好バランス5人家族だから洗面ボウルはダブルが必須!壁のアクセントにも風通しにも効果的な室内窓

既存のディテールを生かしてヴィンテージな趣あるLDKに

奥行きのあるLD

リノベを決めたときはまだ地方で暮らしていたMさん。雑誌で紹介記事を読み、そのテイストや実績の多さに惹かれて、リノベーション会社・インテリックス空間設計に依頼しました。

要望としては、まず3人の子どもの個室の確保。閉鎖的だったキッチンのオープン化。また、洗面はバスルームの脱衣室と兼用で狭かったため、家族5人が不自由なく使えるようにしたいということも希望しました。

1971年竣工の建物なので、夫は特に水回りの配管の老朽化を気にかけたそうです。

装飾性のあるピアノ

リビングダイニングの壁は天然無機の内装左官材「シリカライム」で仕上げました。存在感のあるピアノは、妻が小学生の頃に弾いた思い出の品。先々代の住人から受け継いだ梁や天井の廻り縁が、大空間のアクセントとなっています。

左側の引き戸の先に次男と長女の部屋があり、右側の引き戸からも洗面室経由でアクセスできます。

リビングでくつろぐ妻

木の格子をつけた内窓はやはり先々代の住み手が設置したもので、ガラスに面取りが施された凝ったつくり。床は二重床仕様にして防音性を高め、無垢材のフローリングで仕上げました。

北欧のユーズド家具

バルコニー脇の壁面にテレビとローボードを設置。ローボードは、大学生だった頃に妻が選んだという北欧のユーズド家具。リノベでは、梁を利用して間接照明を設置しました。

リビングの室内窓

壁面につけた室内窓で、リビングから子ども室をさりげなく見守れる工夫も。

【この住まいのデータ】

▼家族構成
30~40代夫婦+子ども3人

▼家を建てた理由
妻の実家だったマンション。都心でどこに行くにも便利だったため、リノベーションして住み継ぐことにした。

▼住宅の面積やコスト
100.52㎡(3LDK)、工事費 約1550万円(税・設計料込み)

木目柄のキッチンとタイルが好バランス

木目柄のキッチン

キッチンは本体前の壁を撤去し、開放的に。熱がこもりがちだった空間に新鮮な空気が入るようになりました。木目柄のキッチンと手仕事を感じさせるタイルの組み合わせが居心地のよさを高めてくれます。

キッチン背面に家電が置けるカウンターを設置

キッチン背面には家電なども置けるカウンターを設けたことで作業効率がアップ。奥までタイルをめぐらせて、対面側からも美しい眺めを楽しめるようしました。

キッチンの前にカウンターデスクを設置

キッチンの前にカウンターデスクを設け、会話もできる家族共有のスタディスペースに。デスクトップPCの定位置で、中学生の長男なども利用することが多いそう。上部には棚をつけて収納に活用。

スタディスペースの収納

スタディスペースの脇に、天井まで届く大容量の収納を設置。キッチンの加熱機器前の壁の裏側に位置します。

5人家族だから洗面ボウルはダブルが必須!

洗面ボウルがダブルの洗面室

西側の長男の部屋をやや狭くしてできた空間に、洗面&ユーティリティを配置。洗面ボウルをダブルにし、家族5人がストレスなく使えるようにしました。洗面台の手前は通路としても機能し、それぞれの個室につながります。

子どものためにひねるタイプの蛇口ハンドルを選択

洗面の蛇口ハンドルは、子どもが手をきちんと使うようにと、あえてひねるタイプのものを選択。丸みを帯びたクラシックなデザインが新鮮に映ります。ヘリンボーン柄のタイルもおしゃれ!

壁のアクセントにも風通しにも効果的な室内窓

室内窓

M邸の居住スペースは2階にあり、玄関がある1階への階段との仕切りは、かつては腰壁のみでした。「冬場は寒く少々危険でもあったため、壁と引き戸をつけました」(妻)。壁の上半分を室内窓にして風通しも確保しました。

室内窓2

リビングダイニングからは室内窓を通じ、グリーン系のクロスを施したアクセントウォールと間接照明が楽しめます。

玄関から見た直線状の階段

玄関ドアを開け、直線状の階段を2階に上がったところに居室があります。ルーバー扉が味わい深い玄関収納は、既存のまま利用。5人家族でこれだけでは容量不足のため、新たに2階の突き当たりにも収納を設けました。

フルリノベで性能と使い勝手を向上させつつ、既存の雰囲気はそのまま生かしたM邸。キッチンの深いグリーンの壁タイルや、塗り壁の質感豊かな仕上げなどによって、新しいのにどこか懐かしさが漂う心地よい空間となりました。

設計・施工/インテリックス空間設計
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラス vol.35」掲載時のものです。