東京・渋谷区の築37年、76㎡の物件を購入し、工事費1200万円(税・設計料込み)をかけてリノベしたIさん。機能充実のシステムキッチンを自分たちが使いやすいようにカスタマイズして、家事ラクな住まいを手に入れました。
すべての画像を見る(全19枚)LDKの一角に、引き戸で仕切れる個室を配置
リノベーションは、ウェブサイトの施工事例などを見て「自分たちに合いそう」と感じたリノベーション会社・インテリックス空間設計に依頼しました。
「時間を無駄にしないように」と、まずは夫妻で十分に話し合ってリノベーションの要望を統一させたというIさん夫妻。夫はプロの建築士なので、詳細な要望書や自ら描いた図面を初回の打ち合わせに提出。
ただ、リノベは専門外で特有の制約やコスト面には詳しくなく、「遠慮なく提案を」と伝えてプランニングがスタートしました。
素材の数を絞ったLDKは、南向きの開口が大きく陽当たりが抜群。それゆえ、壁を白くするとまぶしいのでは、と考えグレーを選択しました。
子どもたちが宿題やお絵描きをするのにもピッタリな大きめのダイニングテーブルは当初からの要望で、キッチン近くに配置したことで会話も配膳もラクでスムーズだそう。
コンクリートの梁とダクトが大胆に交差するリビング。「躯体現しにすることを妻が嫌がるかな」と夫は思ったそうですが、聞いてみるとすんなりOKに。リビングの一角には、2面を引き戸で仕切った個室を設けました。
引き戸を開ければリビングダイニングと一体になり、空間がいっそう広々と感じられます。将来は主寝室にする予定なので、ウォークインクロゼットも備えました。
ふたつの引き戸が交差する位置に立てた大黒柱は、子どもの身長を刻むなどして家族の思い出に。個室はキッチンのすぐ正面にあるため、引き戸を開放しておけば子どもたちが遊んでいる姿がしっかり見えて安心なのだそう。
リビングダイニングには家具が少なく、床面がスッキリ。天井にはダクトを渡し、ペンダントライトもラフに吊り下げました。一方で間接照明や調光システムを採用して、きめ細かく調整できる工夫を施しています。
キッチンは動線も使い勝手も良好!週末のつくりおきもはかどる
キッチンを室内のセンターにレイアウトしたI邸。リビングダイニングへの導入である対面側の通路をゆったりとした幅にしました。さらに、キッチンカウンターの側面と前面をモルタルで仕上げることで、生活感が出すぎるのを抑えています。
ダイニングの壁面には、妻の祖母から受け継いだミラーや、既存の和室に設置されていた長押(なげし)を設置。リノベーションした空間にマッチする、味のあるコーナーに仕上がりました。
グレーと木材のみのシンプルな色づかいのキッチンは、壁をグレーに塗装したリビングダイニングと一体感があり、空間にスッとなじんでいます。
背面収納の引き戸は半透明ガラスを採用したことで、圧迫感がなく、中に何が入っているのかも分かりやすく便利。
キッチンの全長は約3m。横並びの3口IHなど機能的な設備を取り入れた、収納力のあるシステムキッチンを取り入れ、モルタルの腰壁でアレンジしています。
キッチン家電や食器などを収めた背面収納。3連の引き戸は必要な箇所だけ開けられて使い勝手が良いそうです。
キッチンの通路幅は大人ふたりがすれ違っても余裕な広めの幅を確保。フルタイムで働く妻は「週末に料理をつくりおきする際も、横方向だけの動きで作業が進み、とてもラク」と話します。
明るさ確保のために玄関まわりは白でまとめて
玄関土間は既存よりも延長させて広くし、外出・帰宅時の使い勝手をアップさせました。乳白色のガラスが入ったリビング扉越しに、光と家族の気配が伝わります。
自然光が入りにくい空間なので、玄関ホールは白を基調としました。
下駄箱は廊下とフラットになるように新設。天井近くまで高さがあるので、家族4人分の収納量をしっかり確保できています。
玄関の両サイドにはふたつの個室があります。やや広めの北東側の寝室は、現在は妻と子供たちの寝室に。
床にはLDKと同じオーク無垢材のフローリングを張って心地よさを追求し、クロゼットは水まわりとの調整で面積を広げ、折り戸を設置しました。
北西側の個室は、現在は夫の寝室。これら2室は傷んでいた内窓を新しく交換し、寒い季節に備えています。
子どもたちが走り回れて、見守りもしやすい広いリビングダイニングに大満足のIさん夫妻。
思い描いた間取りや内装の実現に加え、サッシを二重窓にして壁に断熱材を加えたことで住宅性能もアップ。家事がしやすく、子育て世代の家族が快適に暮らせる空間を手に入れました。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工 インテリックス空間設計
撮影 飯貝拓司
※情報は「リライフプラス vol.33」掲載時のものです。