以前住んでいた56㎡の賃貸マンションは、一部屋が丸々収納スペースになっていたと話すKさん夫妻。家族が2人から3人になり、4人になって、「これは無理だ」と、本格的に広い物件探しを始めました。エリアは住み慣れた東京・北区に限定。以前のマンションからも近いこの物件が売りに出たとき、リノベーションを依頼したいと思っていたフィールドガレージの原直樹さんにも内見してもらったそう。広さは90㎡超で申し分ないし、「もっと明るく、天井も高くできますよ」と原さんも背中を押してくれました。
すべての画像を見る(全19枚)パッチワークのように組み合わせたリビング収納
木と白がベースのLDKは家具をゆったりと配置しても余裕の広さ。ブルーグレーの壁と、仕上げの異なる数種類の扉をパッチワークのように組み合わせたリビング収納が、楽しい空間をつくりだしています。
撤去できない躯体壁に沿って、壁面収納とカウンターを設置。ちょっとしたスペースもムダなく収納に活用し、オープン収納と扉付き収納のバランスも工夫しています。
カウンターは散らかりがちなものの一時避難場所としても便利。「すべて隠してしまうのではなく、さっと置いたり、掛けたりできる“ものを逃がす場所”が多いので、とても助かっています」(妻)。
包容力のある無垢のオークフローリング
可能な限り壁を取り払い、LDKを広げることによって明るく開放的な住まいに生まれ変わりました。
床材は、幅が広く所々に節のある無垢のオークフローリングを採用。少々の傷も、カラフルなおもちゃも許容する包容力があります。
リビングの天井にはプロジェクターが取り付けてあり、スクリーンを下ろすとホームシアターになります。
玄関ホールからは明るいLDが見通せます。ガラス入りなので、引き戸を閉めても玄関まで光が届きます。
木目調の面材で、室内との統一感を出したキッチン
窓がなくて暗かったキッチンをLD内に移動し、オープンキッチンに。開放感を持たせながら、高めのカウンターで手元を隠しています。壁のブルーのタイルはDIYで貼りました。
キッチン本体とバックカウンターや食器棚もクリナップで揃えました。木目風の面材を選んだので、室内との統一感が生まれました。バックカウンターの一部はオープンにしてゴミ箱の定位置に。
手元を隠すために高めにつくったキッチンカウンター。ダイニング側は食器などの収納棚ですが、まだスペースがたっぷり余っています。上部のオープン棚はディスプレイスペースとしても活躍。
「ものを逃がす場所」があるので片付けがラク
「掃除機はすぐ出せる場所に」という妻の要望で、キッチンの脇に掃除機専用収納を設けました。広い床の掃除にはロボット掃除機やコードレス掃除機が活躍。ここに収納したまま充電もできます。
「使うものを使う場所に」が収納の鉄則。右手の白い扉付きの棚は洗剤、歯ブラシ類など日用品の収納に。洗面台下はタオルなどを置けるオープン棚になっていますが、ここもまだまだ余裕があります。
グレーを基調にしたシックなトイレ。ラメ入りで、照明によって表情が変わるインパクトのある壁紙はネットで探しました。普段は見えない場所なので、思い切って冒険したそう。
寝室の一角に以前から使っていたハンガーパイプを設置して、子どものリュックや衣類などを掛けられるようにしました。隣接するWICとの間には建具がないので、ワンルーム感覚で行き来できます。
家族4人分の衣類が収まるWIC。左右2列の収納棚に加え、中央にハンガーパイプを取り付けて収納力アップ。正面の有孔ボードの壁にフックを付ければ、帽子やバッグなどが掛けられます。
右手のネイビーの壁のおかげで、LDKから見たときに寝室とWICが丸見えになりません。また、2室を程よく隔てつつ有機的につなぐ役割も。奥はベッドを3台並べた広い寝室で、将来は2つに仕切って子ども室にする予定。
玄関ホールは3色に塗り分けられた扉がアクセントになっています。玄関を入ると右手前は個室、左はサニタリーで、奥がLDK。手前の個室のスペースを少し削り、玄関土間とホールを広くしました。
外出時や帰宅時は、玄関が靴で渋滞しがち。そこで玄関と玄関ホールをできるだけ広く確保。土間には靴収納をつくらず、容量の大きいIKEAの収納棚を玄関ホールに設置しました。
玄関からLDに入る手前にあるスリムなニッチ収納。下部は日用品をしまい、オープン棚にはルーター、お守り、アクセサリー、時計、印鑑などよく使うものを。扉がないので、使い勝手が抜群だそう。
妻もフルタイムで働き、小さい子どもが2人いるとは思えないほど、どこもスッキリ片付いているK邸。収納扉の中を見ても、まだまだ余裕。大型WICと壁面収納のおかげで、頑張らなくても片付く住まいになりました。
設計・施工/フィールドガレージ
撮影/飯貝拓司
※情報は「リライフプラス vol.35」掲載時のものです。