ふたりともインテリア好きで、いつか家を買ってリノベーションしたいと思っていた、というAさん夫妻。妻の仕事内容が変わるのを機に、かねてより計画していたマンション購入を決意し、妻の高校の同級生だったエムデザインの藤原さんに相談。夫がランニング中に見つけたという世田谷区のリノベ済みマンションの一室を購入し、大好きな家具が映える空間をつくり上げました。
すべての画像を見る(全17枚)上品な空間になじむ家具調キッチン
夫妻ともにインテリア好きで凝り性だというAさん夫妻。シンプルで品のある、落ち着いた空間をイメージしながらプランニングを進めていきました。
もともとリノベーション済みで売り出されていた物件のため、キッチンは新品でした。
そこで、カウンターの腰壁と扉側に同じ板を張って、設備っぽさを感じさせないデザインにカスタマイズ。圧迫感のあった吊り戸棚ははずして、スッキリとさせています。
キッチンに張った板は、バランスよく見えるように厚みを上手に処理。真鍮の取っ手と相まって、家具のような印象に仕上げています。
コンパクトサイズですが、ふたりで立っても問題ない広さは確保されており、週末にはふたりで料理をすることも。
キッチンの背面にはキッチンと同じくらいの幅がある大容量のパントリーを設置しました。
もともとほぼ同じ大きさのパントリーがありましたが、壁の位置をずらしてさらに広くしています。
パントリー内の二面に付いている可動棚は既存を活用。ストックや調理器具などを置いていますが、まだまだスペースには余裕があります。
廊下とキッチンの間の建具はガラス張りに。妻がアンティーク関係の仕事をしていたときに見たフランスの家をイメージしたそう。
玄関から入ってきたときに解放感があり、部屋を広く見せてくれる効果も。
リビングダイニングはふたり暮らしにちょうどいいミニマムな広さです。
隣接する寝室との間には室内窓を設置。室内窓を含め、建具や窓枠などにはカラーワークスの塗料のなかでもよりグレイッシュな色をセレクトし、同じ色にすることで統一感を出しました。
シンプルな個室はグレイッシュな塗装をアクセントに
リビングに隣接する寝室はシンプルなインテリアに。チェストは妻がひとり暮らしのときにオーダーしたものですが、塗装した建具とほぼ同じ色なので空間にスッとなじみます。
奥行きの深いウォークインクロゼットを新設し、二面にハンガーパイプを取り付けました。クローゼットを含め、収納の建具はすべてルーバー扉で統一しています。
寝室の室内窓からはキッチン、ダイニングが見渡せます。開閉できる折り戸をチョイスし、開放的な空間に。
また、廊下沿いには仕事部屋や客間として使っている洋室があります。
扉だけを替えて既存利用したクロゼットの奥の壁面には、ブックシェルフを造作。窓側は板を渡してテーブルにしました。
オリジナルのこだわりと既存設備を上手にミックス
玄関に入るとガラス入りの建具が目に飛び込んできて、広々とした印象を受けます。
廊下の床は、妻が勤める会社でカーペットのレクチャーを受けて惚れ込んだという堀田カーペットの商品を取り入れました。
黒いフレームの建具と相まって大人っぽい印象になりました。左側の扉はシューズクロゼット。
もともとウォークインタイプの大きなシューズクロゼットが付いていたので、棚などはそのまま利用。
パントリーを広げた分、少しサイズが小さくなりましたが、2人分の靴をしまうには十分の広さがあります。
こちらは洋室前の廊下からLDK方向を見たところ。ガラスの先まで視線が抜けるので、窮屈になりがちな廊下にも開放感を感じられます。
右手前のドアは洋室で、左側の引き戸はトイレ。
トイレはタイル貼りの床と上下2色に塗り分けた壁でシックな雰囲気に。便器は状態が良かったので既存のものを利用しています。
既存の洗面台は入口の横にあって使いにくそうだったため、洗濯機が置いてあった場所に移動し、空間を広く使えるようにしました。
洗面台は好みのイメージを伝えて藤原さんから提案してもらった、T-formのペデスタルシンクに。
洗面室のドアの横には奥行きが浅めの棚を造作しています。リネンや日用品ストックなどがたっぷり収納でき、引き戸でスッキリ隠してしまうことも可能です。
インテリア選びは「職業柄色々なインテリアを見ているからやりたいことが多すぎて」という妻中心に、そして素材や塗料はふたりで相談して決めていったというAさん夫妻。
高級感のある塗装や床のダークな無垢材など、あとから変えられないものに優先的に予算を費やし、好みの空間に仕上げていきました。
「今後はこの空間に似合うものを少しずつ揃えていきたい」と話してくれました。
設計・施工 エム・デザイン
撮影 山田耕司
※情報はリライフプラスvol.33取材時のものです