住み慣れていて職場も近い立川市で新たな暮らしをスタートさせたTさん。以前は近所で賃貸暮らしでしたが、持ち家の購入を検討していくなか、不動産会社にすすめられたのがこちらのマンションでした。築年数は21年と古すぎずリノベーション済み、そして約58㎡という広さもちょうどよいと感じて購入を決意。リノベーション会社・ブルースタジオに依頼した経験のある友人から話を聞いて同社のセミナーに参加し、依頼することを決めたTさん。新品の既存設備を活用しながら、ブルーをテーマカラーにしたオリジナルの空間に仕上げました。
すべての画像を見る(全14枚)のれんとカウンター、小上がりが居酒屋風なダイニングキッチン
リノベーション済みの物件だったため、予算上、水回りと寝るだけの部屋は既存のままでいいと割り切り、ダイニングキッチンに予算を投入。「家の中に、居心地のいい店のような空間を作りたかった」とTさんは話します。
写真右手の味のある扉を開けてLDKに入ると、存在感のあるカウンターキッチンが現れます。なんと昔実家で使っていたテーブルの天板を活用して、こちらのカウンターを作ったのだそう。
藍染の「のれん」は友人の新築祝いで、Tさんの家紋と「行きつけ」を意味する英文字が染め抜かれています。
また、キッチンの腰壁は目を惹くような鮮やかなブルーで塗装し、その奥の柱に張ったタイルも濃淡のブルーと、テーマカラーを設けて一体感を演出しました。
新品だった既存のコンロや水栓を組み込んだL字型キッチン。大きな窓から光が入ります。
キッチンは「見せる収納」を取り入れたことで、鍋もグラスも取り出しがスムーズです。「キッチンはとても機能的で、よく料理をするようになりました。ゲストを料理でもてなすのも楽しいし、親しい友人がつくってくれることもあります」とTさん。
小上がりによって空間に立体感を
カウンターテーブルの奥には小上がりが続き、どこか居酒屋を思わせる空間に。フラットだった部屋を立体化させることで、視線を上部に誘っています。天井は躯体コンクリート現しとし、高さを出して開放感をアップ。
小上がりには食後に自然と足が向くのだそう。床との段差は大容量の収納に活用されています。
「父が残したジャズのLPレコードもこの中に収納しています。たまに出して、そのために新しく買ったプレイヤーで聴くことも」とTさん。随所に並ぶこけしが可愛いアクセントに。
壁と同色で塗装した、遊び心のある隠し壁
LDKの一角には、キッチンの腰壁と同じくブルーで塗装された壁が。「壁を塗りたいけど、どこがいいか悩んだ」というTさんがブルースタジオの設計担当者と相談し、選んだのがダイニングの南面でした。
ブルーに塗装した上に棚板を付けて、コレクションのこけしを飾っています。
一見すると壁の一部のように見える部分が、実は寝室の扉になっています。
購入時、フローリングやクロスなどの内装はすでにリフォームされていたので、今回はドアの交換のみにとどめて既存を活用しました。
一方、もうひとつの洋室にはウォークインクローゼットを新設。床はラワン合板張りとし、現しにした躯体壁は塗装せず、ワイルドな雰囲気をそのまま残しました。
廊下や水回りは手を加えず既存利用
玄関土間は床の仕上げを長尺シートからモルタルに変更。靴収納はオープンにして、奥行き感と容量を確保しました。
「廊下はとりあえず既存のまま暮らしていますが、イマイチなので次の機会にリノベしたい」と、ここでも確固たる優先順位でリノベを進めたTさんの決意が感じられます。
トイレは新品に交換済み。壁などの内装もきれいだったのでそのまま活用することに。
洗面兼脱衣室は広々としたスペースで、洗濯機もゆったりと設置されています。飾り気はありませんが、新品の洗面台は必要かつ十分な機能を備えていて「まずはこのまま」と既存利用しました。
ユニットバスも最新の機能的なものに交換されていたので、そのまま活用。「とりあえずこのままでも、と踏み切れるところがリノベ済み物件の利点」とTさん。
資金が貯まったら水回りや寝室、廊下などのリノベ計画を進めたい、というTさんの住まいは今後も少しずつ姿を変えていきそうです。
設計/ブルースタジオ
撮影/ 山田耕司
※情報は「リライフプラス vol.31」掲載時のものです