賃貸からの住み替えでNさん夫妻が購入したのは、東京都町田市に建つ平成9年築の中古マンション。眺めや日当たりも良く、敷地内の植栽が豊かで、広いルーフバルコニーもある約70平米の物件です。物件探しからnu(エヌ・ユー)リノベーションに依頼し、工事費 1390万円(税込・設計料別)で大胆なリノベを実施。予算は4割近くオーバーしたそうですが、夫妻の狙いどおり訪れたゲストがみんな驚くというインパクト大の住まいになりました。
すべての画像を見る(全14枚)広いホールとガラス戸で他にはない玄関に
デザイン関係の仕事をしている夫妻。目指したのは、玄関を開けた人が「おおっ」と驚くようなインパクトのある空間でした。リノベをするなら思い切りオリジナル感を出したかったといいます。とくに夫は、家の中に段差があったり手すりがあるような「いつか建てたい夢の家」の絵を描くほど理想の住まいのイメージがあったとか。
既存の個室を縮小することに加え廊下をなくすなどして玄関ホールを広げ、LDKとの間にアイアンフレームの全面ガラス戸4枚を採用。玄関を入ってすぐに広がる開放的な眺めは、まるで美術館のエントランスのようです。
リビングの床は一段掘り下げ、こもり感のある落ち着いた空間に。疲れを癒す絶好の場になっています。
LDKは天井と壁の一部を躯体表しに。躯体コンクリートの状態が良かったため、塗装なしで済んだといいます。
スツールを置けばカウンター風に使えるアイランドキッチンは、オールステンレス。
キッチンとトイレの間の空間を利用して、夫のフィギュアコレクションやプラモデルなども飾れるワークスペース兼趣味室をつくりました。キッチンとの間の小窓は、妻が「ごはんですよ〜」と声をかける際にも活躍中です。
空間に合うアイテムを選択
リビングの入口付近にあるコーナー。配管やスチール製キャビネットなどから感じるハードさと、オーク無垢フローリングや観葉植物が見事に調和しています。
サニタリーのドアの脇にコンパクトな洗面コーナーを設け、ゲストにも気軽に使ってもらえるようにしています。サニタリー内にも洗面所を設けたため、ふたり同時に手洗いが可能です。
こちらは、サニタリー内の洗面所です。カウンター下にはインテリアショップで見つけた収納ボックスが収まるように、フレームとなる部分を造作してもらいました。
トイレの壁にはコンクリートブロックを使い、余分なものをそぎ落としたトイレ。コストアップになっても構わない、と当初予定していた便器を変更してこの空間に合うものをチョイスしました。
機能性だけではない造作美が手すりの魅力
玄関両脇にある階段は、個室や寝室などプライベート空間へのアプローチになっています。コンクリートブロックの壁とスチールの手すりの造形美が印象的です。
また、段差をつけたことで生じたスペースを靴収納にすることで、玄関をすっきりと見せています。
寝室のドアを開けると見えるのが、白いTシャツをディスプレイした「見せる収納」。
寝室内部は床面がLDKより少し高くなっている分天井が低く、落ち着ける空間になっています。
寝室の逆サイドにはウォークインクローゼット、さらに、階段の先には個室があります。
段差のあるリビングの床、玄関のスチール製の手すり、コンクリートブロックの壁など、やりたいことを詰め込んだN邸。オーバーした予算をめぐって夫妻の意見がすれ違うこともあったそうですが、きちんと話し合いながら理想を積み重ね、夫妻ともに納得の住まいにできたようです。
設計・施工/nuリノベーション
撮影/臼田直史
※情報は「リライフプラスvol.34」取材時のものです