自らの収納ノウハウを詰め込んだ「収納御殿」の実現を目指し、リノベーション専門誌『リライフプラス』の連載「収納王子コジマジックの家づくり武者修行!」でも修業を続けてきた収納王子コジマジックさん。2019年7月末、ついに東京・目黒区内の閑静なエリアで理想の土地を入手。予算は土地+3階建てで約1億円。100件以上の土地を見学して「初めてピンときた!」という物件を手に入れ、建築会社も決定。すっかり更地になったところでいよいよ基礎工事に突入。さらに上棟を迎えるまでの、波乱ありワクワクありの一部始終を紹介します!
すべての画像を見る(全28枚)新築スタートも思わぬアクシデント!
土地がすっかり更地になったところで、いよいよ基礎工事に入ります。
「ここまで来るのもすんなりとはいきませんでした。土を掘り起こしてみると、産業廃棄物が入った井戸や撤去すべき古いガス管が出てきたり、お隣の水道管が越境していたり、重量のある3階建てを建てるために地盤改良が必要になったり……。それぞれ適切に処理し、ようやくの基礎工事です」とコジマジックさん。
土地は、建物が建っては数十年後に取り壊し、の繰り返し。掘り起こしてみると、いろいろと出てくることが少なくありません。
さて、基礎工事のおおまかな流れは、地縄張り(建物の配置をロープなどを使って示す)、根切り(土を掘り起こす)、砕石敷き、防湿シート敷き、配筋、基礎外周の型枠組み、生コン打設……(略)と続きます。
これらの工程をこなし、無事、基礎ができた…かと思いきや、アクシデント発生! 数センチの基礎のズレが発見されたのです。
各担当者が調査し、原因を探り、寸法の誤差は、どうやら土地の基準点と図面にずれがあったことで生じたと判明。多少の誤差は起こりがちで、隣家の方に承諾を得れば問題ないとも。とはいえ、このような基礎のズレは建築会社のリガードでも初めての事例だそうです。
「当初、図面では隣地境界と建物の間に約60㎝の空きを取っていました。お隣に承諾をいただいたとしても、モヤモヤした気持ちを抱えたまま建てるのはちょっと…。実際問題、エアコンの室外機などもあって通り抜けも不便。基礎をやり直せばもちろん竣工は遅れますが、家族会議を開き、思い切って基礎をやり直してもらうことにしました」(コジマジックさん)。
「竣工は4月下旬にずれこむことになってしまいましたが、これからの長い人生で見ればほんの一瞬。自分たちが納得のできる家づくりをすることが大切だと思いました」(コジマジックさん)。
気を取り直して、収納御殿の建築リスタート!
振り出しに戻り、日程を調整して基礎工事をやり直し。最初の基礎を取り壊しました。
基礎工事は、まず砕石の上に防湿シートを敷設。防湿シートは配筋の前に地面に敷くシートで、地面から基礎に湿気が流入するのを防ぐ効果があります。
さらに周囲に捨てコンを施工。捨てコンとは「捨てコンクリート」の略称。基礎外周に捨てるようにコンクリートを打ち固める作業を指します。防湿シートを固定・密閉する役割も。
次に配筋工事。鉄筋コンクリートの引張強度を担う、鉄筋を組む工程です。1本1本の鉄筋を、結束線を用いて手作業で組んでいきます。「職人さんの作業を見学していたのですが、細い針金(結束線)で括る作業が素早くて、まさに妙技! 感心して見入りました」とコジマジックさん。
不明な点は現場監督の小山さん(リガード)に確認。
生コン打設工程に移ります。生コン打設とは、基礎の床部分にコンクリートを流し込む工程。コンクリートミキサー車から勢いよく出てくる生コンを流し込み、これを慣らします。
基礎の外周に型枠が組まれているので、コンクリートが漏れ出ません。
木材で鉄板を支えています。
コンクリートが乾いたところで型枠を外し、基礎内部の立ち上がり部分に型枠を組み、アンカーボルトを設置。アンカーボルトが基礎と建物の土台をつなぎます。さらに立ち上がり部分にも生コンを打設。乾いて型枠を外したところで、基礎が完成!
次に行われるのが給排水工事です。下写真は、建物南西側に位置する浴室の給排水。青色のホースが給水管、赤色のホースが給湯管です。断熱材もくまなく貼られていますね。
ベタ基礎工事完成。1階の平面構成が分かります!
工事をちょこっと体験してみる!
給排水工事が済むと、基礎の上に床の下地材が張られます。コジマジックさん、職人さんの作業を見ていたら自分もやりたくなって、プロの指導を受けながら玄関部分の床板を張らせてもらったそうです。
「その様子を妻に動画で送ったら『大工さんに任せてほしい!』と厳しい返事がきました(笑)。玄関は家族が日に何度も通る場所だから、自分の手で何かやりたかったんですが…」。
ちなみに断熱材のフォームを専用器具で充填する作業も、ちょこっとやらせてもらったそうですよ。続いて建設用足場の架設を行います。
いよいよ上棟!まるでテトリスみたい!?
翌日、いよいよ上棟です!この日は奥さまや娘さんも同行。「いよいよという感じでワクワクします」とご夫妻。
道路には、この日のために用意したプレカットの資材が待機しています。
1階の骨組みは、朝のうちにほぼ完成。急ピッチで工事が進みます。いよいよクレーン車の出番。2階、3階の柱や梁、床の下地材などが上げられます。
「迫力満点で、目がくぎ付けに!」(コジマジックさん)。
お昼の休憩時間に内部に入ってみるコジマジックさん。「いやあ、家らしくなってきましたね」としみじみ。
午後になって、2階の骨組みが立ち上がります。
数時間後に屋根もつけられました。「一気に組み上げるスピード感が半端ないですね。このあと職人さんたちはコンパでもあるのか(笑)、と思うくらい早い」と感心?するコジマジックさん。
この日は暮れも押し迫った12月23日。組み上げの途中、接合部位のやり直しなどがあってやや時間がかかったようですが、それでも職人さんたちのチームワークのよさで無事上棟を迎えることができました。
コジマジック邸の場合、上棟式の代わりに、内装工事直前のタイミングで「手形式」を行います。
早朝から日暮れどきまでずっと現場で見学していたコジマジックさん。建てる側に負けないエネルギッシュぶりに、職人さんたちもよりいっそう気合いが入ったことでしょう。
「どんどん組み上がる様は、まるでテトリスを見ているようでした(笑)。これまで模型でしか見ていなかったモノが形になり、建物のスケール感が分かるようになって、ようやくここまで来たな、と。これからの内装工事や外装工事が待ち遠しいです!」
建物は、正月休み明けまでブルーシートで養生し、風雨から守ります。
「休み中、すごく風の強い日があって心配でした。ブルーシートはあえて緩めに設置するそうです。あまりきっちり縛ると、風の影響をもろに受けて、足場が倒れちゃうそうです。緩めにすることでうまく風が抜けるのだとか」(同)。
初めての家づくりは、知らないことだらけ。気になったことはそのままにせずにすぐ問い合わせ、納得しつつ安心するコジマジックさんでした。
【一般社団法人日本収納検定協会 代表理事 小島弘章】 片づけ・収納・住まいに関する確かな知識と実績を持つプロフェッショナルでありながら、松竹芸能で25 年の芸歴を積んだ、主婦層に圧倒的な支持を受ける男性ライフスタイル系タレントのパイオニア的存在。収納に“ 笑い”を取り入れたセミナーが話題となり、年間講演依頼数は200本以上、著書・監修本は累計40万部を超える。“収育”を理念として掲げた日本収納検定協会を設立し、お片づけを楽しむ検定「収納検定」をスタートさせる。そのほか収納グッズ開発やマンションの収納監修など、日本や中国を中心に幅広く活躍中。 山田耕司、八杉和興=撮影 田中敦子=取材・文