住宅ローンの金利が低いうちに家を購入したい、と結婚を決めると同時に家づくりを始動したHさん夫妻。アンティークの家具や雑貨が好きなふたりは、新築ではなくリノベーションを選択します。リノベーション事例が集まった本で「ツバメクリエイツ」というリノベーション会社を知り、自分たちの好みに合うデザインや会社の立地に魅力を感じてリノベーションを依頼。千葉県柏市にある築年数19年のマンションを購入し、工事費500万円(税・設計料込み)をかけてアンティークが似合う空間をつくり上げました。

自転車も置けるLDK
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目次:

LDKにはダイニングテーブルを置かずに余白をカフェ風のグレイッシュなキッチン玄関と個室を内窓でつないで光と風をブラウンタイル×白目地がシックなサニタリー

LDKにはダイニングテーブルを置かずに余白を

アカシアフローリング

寝室などの個室は狭くてもいいから、リビングをできる限り広くしたかったというHさん夫妻。リビングに隣接していた和室や押し入れを撤去したことで、ゆとりある空間が生まれました。

当初はフローリングをオークにしようと考えていましたが、予算内ではリビングのみに張るのが精いっぱい。そこで、設計担当の方から「これなら全室フローリングにできる」とアドバイスをもらい、見た目も気に入ったアカシアを採用しました。

テレビボードと夫愛用のギター

テレビボードの横にはディスプレイかのようなさりげなさでギターが置かれています。ずっと音楽活動を続けている夫のもので、今は気兼ねなく演奏できる地下室を練習の場にしているのだそう。

開放感のあるリビングとピクチャーレールに飾ったドライフラワー

解放感あるリビングにはダイニングテーブルをあえて置かず、余白を残しました。飾ってあるアンティークの家具や雑貨は、柏のアンティークショップで購入したものが多いそう。もともと付いていたピクチャーレールに飾ったドライフラワーが、真っ白な壁をやさしく彩ります。

そしてパッと目を惹くグリーンのアームチェアは、リサイクルショップでなんと800円で見つけたという掘り出し物。個性的なフォルムがインテイリアのアクセントになっています。

廊下から玄関に光を届けるリビングのガラス入りドア

廊下から玄関に光を届けるリビングのガラス入りドアはツバメクリエイツのオリジナル。開けておくと家じゅうに風が通り抜け、1階ということで心配していた湿気も気にせずに生活できています。

地下室へ続く階段。

また、リビングには階段室があり、地下室へと続きます。街灯のようなデザインの照明器具がアクセント。階段は既存をそのまま利用し、手すりのみナラ集成材のものに付け替えました。

猫の「ぽてこ」はこの階段を上り下りすることがいい運動になっているそう。

カフェ風のグレイッシュなキッチン

カフェ風のグレイッシュなキッチン

キッチンの腰壁にサブウェイタイル、奥の壁にはブルーのアクセントクロスを貼ってカフェのような雰囲気に。1枚ごとの微妙な色ムラがあるタイルによって複雑さが加わり、味わい深く。

カウンター風に奥行きを深くした天板には、妻の手製の果実酒やビネガーが楽しげに並びます。

木目調の使い勝手の良いシステムキッチン

当初はオーダーキッチンを希望していましたが、コストを抑えるために手ごろな価格で使い勝手がよいシステムキッチンをチョイス。木目調の面材を選ぶことで、インテリアに馴染ませました。

床材には六角形の塩ビタイルを採用。水に強く掃除もラクで、タイルの床と比べてものを落としたときに割れにくいのもメリットです。

譲り受けた店舗の什器を再利用

システムキッチンとセットの背面収納は設けず、譲り受けた店舗の什器を置いて食器や食材、家電を収納しています。「収納が多いとものも増えてしまいがちなので、この方がいいんです」と妻。結果としてコスト削減にもつながりました。

玄関と個室を内窓でつないで光と風を

玄関には土間を作り、大きな姿見で奥行き感を演出。

以前は間口が90cm程度と狭かった玄関には、友人が遊びに来たときも靴を置きやすいようにと土間を新設。大きな姿見は外出前の全身チェックに便利で、玄関の奥行き感と明るさが増して見える効果も。靴の収納棚もツバメクリエイツによるオリジナルです。

toolboxのすべり出しの内窓

玄関土間に面した個室には、toolboxのすべり出し窓を内窓として設置し、採光と通風を確保しました。

ショップのようにディスプレイされたクローゼット

その個室にはクローゼットに入りきらない洋服やバッグがショップのようにディスプレイされています。夫妻はアンティークの家具を好むのと同じように、洋服は古着を愛用しているのだそう。

ブラウンタイル×白目地がシックなサニタリー

アンティーク調ミラーの洗面室

ダークブラウンのタイルとアンティーク調のミラー、レトロ感のある水栓などテイストを揃えた洗面。洗面ボウルにはシンプルで深さがある、TOTOの「病院用流し」を選びました。

衣類やスニーカーのつけ置き洗いをする際にも重宝しているのだとか。収納は洗面台の下に設け、上はミラーのみにしてスッキリ見せました。

ナチュラルで落ち着いた印象のトイレ

トイレにはブルーグレーのアクセントクロスをあしらい、棚やペーパーホルダーを木製のものにしてナチュラルで落ち着いた印象に仕上げています。「おしゃれすぎて自分たちが疲れてしまうのは嫌だ」と、落ち着きある空間を求めていたHさん夫妻。

アカシアの無垢フローリングをはじめ、好きな素材に囲まれて暮らせる幸せを実感しているのだそう。「柏にはおいしいご飯のお店も古着屋さんもたくさんあるので、出かけても楽しい街なのですが、くつろぎすぎて外出しない週末もあるほどです」と妻は話してくれました。

設計・施工/ツバメクリエイツ
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.31」取材時のものです