新築物件の内装がどうしても気に入らず、購入をためらっていたというIさん夫妻。雑誌でリノベーションという選択肢があることを知り、中古マンションを買ってリノベする方向にシフトしました。物件探しから依頼できるリノベ会社を探し、施工事例のテイストなども気に入った空間社に依頼することに。購入したのは東京都世田谷区に建つ、築19 年、専有面積58.78㎡のマンションです。660万円(税・設計料込み。施主支給品は別途)をかけ、内装にこだわったリノベを行いました。
すべての画像を見る(全12枚)参考にしたい!グリーンの多彩な楽しみ方
LDKを広くしたくらいで、間取りにはあまり手を加えていないというI邸。LDKはバルコニーに面していた個室の壁を取ってひとつながりにした上で、造り付け棚のある畳スペースを設けました。
ダイニングテーブルとベンチは、夫の元同僚がデザインから製作までを手掛ける奈良・吉野の「高野家具」のものです。
重視したのは内装で、特にキッチンや洗面のタイル、寝室の建具や内窓などにとことんこだわったそう。
そして、その空間をさらにセンスよく彩っているのが、たくさんのグリーンたち。植物の種類だけでなく、天井からのハンギング、棚や床置きのものなど見せ方も多彩です。
畳スペースの棚に置かれたメダカの棲む水槽には、アクアテラリウムも。棚の下にあるどっしりとしたローテーブルは、大阪のインテリアショップ「飛行船スタイル」のものです。
ダイニングテーブル上のダクトレールから下がるのは、妻の手作りドライフラワー。照明に限らない、こんなダクトレールの使い方も参考になります。
カーテンボックスも有効利用し、つる性の植物で立体感を出しています。
キッチンの出窓やカウンターのちょっとしたスペースも、グリーンでステキに演出。
ほとんどの壁の塗装を夫婦でDIY
造作のキッチンカウンターは対面式。無印良品の食器棚や調理家電、ごみ箱などがすっきりと収まるように設計されています。
キッチン奥に見える内窓や黒い壁の向こうは、寝室です。寝室は将来、2部屋に分けるつもりでいるため、黒い壁はそのときのために設けたドア枠部分。今は黒板塗装が施されています。
寝室の内窓はダイニング側からの採光に役立っています。右手のWICに続く建具は既存のままとして、コストを削減しました。
内装にこだわっただけでなく、寝室を含め、ほとんどの壁の塗装をDIYしたという夫妻。「仕事終わりにふたりでケンカしながら塗りました(笑)」と妻。
玄関ホールの壁などに見られるコテ跡をあえて残したラフな仕上げは、素人の手によるものとは思えないほどの腕前です。
左手に見えるWICに続く建具は、空間社の施工事例で見て気に入ったもの。寝室の建具も同じものです。
右手の棚の下にも、さり気なくグリーンが飾られています。
花のように見える洗面のタイルは、カフェのトイレで妻が見かけて気に入り、同じものを取り入れました。
洗面カウンターにはドライフラワー、トイレの棚の上にはハーバリウムを置くなど、ちょっとしたスペースにも植物が見られるI邸。
「週末には家族揃ってフラワーショップやインテリアショップを巡るのが楽しみ」という妻。でも、「手入れをしているのはほとんど自分」と話してくれたのは、夫。それぞれの役割があってこそ成り立っている空間のようでした。
設計・施工 空間社
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.34」取材時のものです