親戚の家に間借りをしていたSさん家族は、ローンの頭金の用意ができたことや、長女の誕生をきっかけに新居探しをスタート。長男が転校しなくてすむようにと同じ校区で物件を探し、東京都世田谷区にある築35年のマンションを購入しました。リノベーションは、ナチュラルテイストの事例の多さに惹かれたという空間社に依頼。20年ほど前にリフォームされていたため、既存設備を活用しながら、工事費730万円(税・設計料込み)をかけて家族がのびのび過ごせる空間をつくり上げました。
すべての画像を見る(全11枚)収納確保のためLDKにはあえて室内窓を設置
リビングダイニングはもともとすっきりと広いL字型の空間でしたが、リノベーションで入口側に壁を新設しました。「壁面をつくることで収納スペースを確保したいと思っていました」と夫。
壁沿いにはオーダーメイドのチェストを置こうとあらかじめ決めていたそう。壁の上を室内窓にしたことで、採光や見通しが妨げられず、解放感はそのまま維持できました。
床はオーク無垢フローリングでナチュラルな雰囲気に。白と木がベースとなっている空間を、室内窓の黒いスチール枠が引き締めています。
ダイニングは内装のみを変更。キッチン対面部分のカウンターは床材と同じものに変更し、枠には突板を張るなど、細部までこだわりました。カウンター上のハンガーパイプは鉢植えのハンギングなどに使う予定とか。
キッチンは面材やタイルで雰囲気一新
レンジフード以外の設備を既存利用しているキッチン。キッチン本体と吊り戸棚の面材を変え、壁にはサブウェイタイルを貼って好みのテイストに仕上げました。
キッチンの隣にある洗面室との間にもともと付いていたドアは、引き戸に変更。開け閉めがしやすくなり、家事動線がスムーズに。
引き戸を開けておけば、湿気が心配な洗面室にも容易に風を通すことができます。キッチンと洗面室の床には、同じタイルを貼って統一感を。
室内窓でゆるくつながる寝室とワークスペース
寝室と隣のワークスペースとの間の壁には、室内窓を設置しました。クローゼットを移動したことで、ワークスペース側に寝室が広がり、夫妻が希望していた大きなベッドを並べられるように。現在は家族全員ここで寝ています。
寝室はドアの位置を変更し、ワークスペース側にあったクロゼットをもとのドアの位置付近へ移動。奥行きが深くなり、収納量もアップしました。
夫のワークスペースは、憧れていたという自転車のディスプレイもできるようになっていて、インテリア性が高い空間に。デニムを張り地に使ったカジュアルな一人掛けソファもこの空間にマッチしています。
デスクと室内窓の組み合わせは「絵になる」と夫のお気に入り。室内窓は採光や通風の面でも一役買っていて、寝室からやわらかな光が届きます。
素材や色味を揃えて統一感を演出
玄関収納はルーバー扉に変更して、窓枠には突板を張りました。統一感を出すために、フローリングに合わせたトーンで仕上げています。
また、トイレは位置や広さを変えていませんが、キッチンと同じサブウェイタイルを貼ってアクセントに。広めの手洗いと小物が置けるカウンターを設置し、サブの洗面室としても使えるようにしました。既存のトイレにゆとりがあったからこそできた工夫です。
「リビングまわりは過ごしやすくて気に入っています。家事をしながらでも子どもたちの様子が見えるキッチンもすごくいいですね」と妻。
今後は少しずつ家具を増やす予定とのことで、「1年かけて徐々に家具などを揃えてきました。リビングには、今のチェストと同じものをもうひとつ入れたい」と夫はうれしそうに話してくれました。
設計・施工 空間社
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.31」取材時のものです