賃貸のワンルームに住んでいた渡邉さん夫妻は、家を買うならローンが組みやすい年齢のうちにと考え、家探しをスタート。思い通りの空間にデザインして暮らしたかったので、当初からリノベーション前提で中古マンションを探しました。将来売却することを前提に、利便性も住環境もよい東京都豊島区にある築20年のマンションを購入。建築学科を卒業している夫がメンバーとして参加しているテーラード・デザイン研究所にリノベーションを依頼し、夫も設計に関わりながら、工事費1040万円(税込み、設計料別)をかけてこだわりの空間をつくり上げました。

解放感あるLDK
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目次:

木に包み込まれるようなリビングダイニング廊下はドレープ状の壁がひと続きにデザインも実用性も大満足の水回り

木に包み込まれるようなリビングダイニング

曲線を描くLDK

なるべく広くしたかったというリビングダイニングは、ラワン合板の壁に緩やかに囲まれた空間に。低めの天井に合わせて、照明は小ぶりのスポットライトを、ソファはFLANNEL SOFAのロータイプのものをチョイス。

既存の床を撤去することも考えましたが、予算調整のために既存床の上にフローリングを重ね張りし、コストダウンを実現させました。

夫妻でキッチンに入るときも行き来しやすいように、キッチンの開口は2か所に設置。

出窓があるキッチン

出窓に面したワイドなキッチンは明るくカジュアルな印象。すっきりとモダンなリビングダイニングとは雰囲気をがらりと変えていて、キッチン本体や壁、家電までも白で統一しました。

「生活感があふれる場所ですが、人から見られるわけではないので自分の好きにできるのがいいですね」と妻。晴れた日には窓の向こうに富士山が見え、風通しも良好なのだそう。キッチンは渡邉邸の一等地といってもいいかもしれません。

回遊性のある和室とWIC

リビングに面した和室はこもり感があるつくりで、寝室として使用。無染土の自然のままの畳表ともあいまって、シンプルでありながら、ホッとできる気持ちのよい空間です。

上部のスペースを活用して収納に。そして、カーテンを開けると大容量のウォークインクロゼットが出現。和室からだけでなく、廊下側からも使えるようになっています。

廊下はドレープ状の壁がひと続きに

プランニングの際の「曲線が好き」という妻の話をヒントに提案されたドレープ状の壁。窓は生かしたいけれどエアコンやサッシは隠したいと考えていたところ、テーラード・デザインの飯田さんが思いついたアイデアなのだそう。

ドレープ状の壁には開口を設けて、裏側に生活感のあるキッチンなどを配置する形に「すごい! と思いました」と妻。玄関からリビングダイニングまでが角のないひと続きになっていて、住まい全体に統一感をもたらしています。

廊下沿いの子ども室と収納

廊下のカーブに面している将来の子ども室は、現在は予備室として使用。キッチンと同様に室内の壁は白で統一しました。

また、玄関正面には上部まで無駄なく使える収納を設置。その左側には、視覚的な広がりを演出するために、マンションに入れられる最大サイズの鏡を設置しています。

出窓を利用したワークスペース

玄関からLDK方向に廊下を進むと、出窓を生かした夫のワークスペースが。やわらかな質感のカーテンで仕切ることで壁と緩やかにつながり、区切られた印象にならないように工夫しました。「カーテンが風にそよぐ感じがとてもいいんです」と妻。

ワークスペースの向かいには洗面室とトイレが配置されていますが、扉の枠を除き、壁の一部のように溶け込ませています。

デザインも実用性も大満足の水回り

木を生かした水周り

使いやすさとデザイン性を両立させた洗面台はオリジナル。木の素材感を生かしたつくりで、温かみを感じられます。

また、トイレは便器の左側に動かすことができないパイプスペースがあり、そのままでは不自然なでっぱりに見えてしまうところ、手前にカウンターを設けることでその存在感を和らげました。カウンターは小物も置けて実用的。

解放感があるリビングが一番のお気に入りという渡邉さん夫妻。「ドレープ状の壁は包み込まれているような安心感があってホッとしますね。リラックスできるスペースと、機能的で生活感があるスペースに分かれているので、気持ちにメリハリがつくんです」と妻は話してくれました。

設計・施工 テーラード・デザイン研究所(飯田智彦∔渡邉典文∔澤 秀俊)
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.31」取材時のものです