今回は、女性一級建築士である筆者が、失敗しない間取りにするために注意すべき3つのポイントについてお話いたします。家を建てる際に間取りを決められないという人は意外と多いようです。1年近くも打合せしても、なぜか堂々巡り……。どのようにすれば、理想の間取りにすることができるのでしょうか?
1.インターネットの情報だけに踊らされない!
すべての画像を見る(全10枚)Mills / PIXTA(ピクスタ)
インターネットの利用によって、多くの人が、家に関しての情報を得ることも、発信することもできるようになりました。
- リビングにサンルームを造ったら、室内物干しができて便利だった!
- 玄関に、キッチンからも出入りできる収納をつくったら、家事が楽になった!
上記のような「便利だった!」「よかった!」という情報を、我が家にも取り入れたいと思うことは、決して間違ってはいません。
しかし、家の設計は、敷地や道路、方位、法令などの条件から作成していくため、まったく同じ条件の家はありません。
そのため、取り入れたい間取りが、自分の家で可能であるとは限りませんし、無理に取り入れたことで、別の場所が使いにくい間取りになることもあるのです。
インターネットの情報は、参考程度にして、設計者や施工者など、専門家の意見を大切にしましょう。
マハロ / PIXTA(ピクスタ)
2.間取りへの要望は「引き算」で考える!
プラナ / PIXTA(ピクスタ)
「明るくて広いリビングダイニングがほしい」「庭でバーベキューがしたい」「書斎がほしい」「家事コーナーでよいから、私専用のスペースがほしい」。
ふじよ / PIXTA(ピクスタ)
このように、家族それぞれの希望はたくさんあると思います。
しかし実際には、敷地や予算の制限から、ご家族すべての希望をかなえるのは難しいのが現状です。
間取りの要望をまとめて設計者に伝えるには、以下のようにするのが最適です。
- まず初めに、家族それぞれが自由に、家への要望を紙に書きだす
- 家族で重なった要望は、「家に求めるもの」として残す
- 要望が重ならない、または意見が拮抗するものは、引き算をして要望から消していく
- 残った要望を紙にまとめ、設計者に渡す
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こうすることで、家族の思いもまとまりやすく、また設計者にも「家に求めるもの」のイメージが伝わりやすくなります。
また、同時に「家に求めないもの」も補足として伝えてみてください。
余計なところにお金をかけない配慮が可能になり、具体的な家へのイメージが設計者に伝わります。
3.専門家のセカンドオピニオンを聞く
要望を整理し、設計者に伝えたけれども……、なかなか希望通りの間取りにならない、間取りにピンと来ない場合も多いと思います。
そんなときは思い切って、専門家のセカンドオピニオンを聞く方法もあります。
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病院と並び、建築の世界も、専門家によるセカンドオピニオンを聞くことが普通になってきています。
そして設計事務所や不動産コンサルタント事務所では「間取り相談」や「間取り診断」を実施しています。
「間取り相談」のメリットとしては、
- 建築士が変われば、まったく違う間取りができることが多い
デメリットとしては、
- 今の設計者との空気感が、若干、悪くなる場合がある
などです。
こちらの図面は「間取り相談」を行う前のものです。
セカンドオピニオンの意見を参考に建物の大きさや配置は一切変えずに、間取りだけ変えると以下のようになりました。
ここまで間取りを変えることができます。
いかがでしたか?マイホームへの夢は、十人十色、さまざまです。
間取りづくりのポイントをおさえ、後悔や失敗のないマイホームづくりを進めてくださいね。
(しかまのりこ)