長年住み慣れた、山手線内側の落ち着いた町に家を持つことを決意したMさん一家。立地優先の物件探しを1年半続け、築43年、専有面積65平米のマンションを4,850万円で購入しました。既にリノベーション済みでしたが、まとめサイトで見つけたという空間社に依頼して、自分たち好みの間取りや内装に再度リノベーション。水まわりをはじめ設備の多くを既存利用し、また、珪藻土を自分たちで塗るなどして、工事費600万円(設計料込み)で自分たちらしい住まいを実現させました。
家族の気配を感じられる、仕切りのない広々LDK
すべての画像を見る(全10枚)「ひとつの大きな空間で、家族全員でわいわい過ごしたい」という夢を実現するために、壁を取り払って広々としたLDKを設けました。モダンでクールな印象だった室内は、木や珪藻土をふんだんに使った温かみのあるナチュラルな雰囲気に一新。
設備の多くをそのまま利用したため、内装に思い切って費用を割くことができました。
キッチンはアイランド型にして回遊動線を確保。IKEAのキッチンにステンレスのシンクを組み合わせて新調し、機能性と美しさを両立させました。
大人のゴロ寝もウェルカムな畳スペース
LDKの一角に設けた畳スペースは、主に子どもの遊び場として活用。あえて梁下に設けたベンチにより緩やかにゾーニングされ、圧迫感を回避しています。
ベンチには子どもの絵本やおもちゃをスッキリ収納できます。キッズスペースとして使うだけでなく、大人のゴロ寝も許してくれる包容力のあるスペースになりました。壁のニッチは、解体時に見つけたスペースを本棚として有効活用しています。
リノベ済み物件を再リノベして、自分たちらしい住まいに
物件購入時のLDK
購入時、こちらの物件は既にリノベーション済みでした。リノベ済み物件ならではのメリットをできるだけいかして、広々とした空間と木の風合いが心地いい住まいへと生まれ変わりました。
「壁は自分たちで珪藻土を塗ったから、よく見るとアラだらけで(笑)。でも穴を開けようが落書きしようが、気楽な感じがいい。どんぐりの木のフローリングも、素足で歩くのが気持ちよくって」と夫は話します。
玄関は夫の自転車を収納するため、廊下をなくしてたたきをL字型に拡張しました。床と壁は汚れが目立たないように、濃いグレーに塗装(写真左)。珪藻土を塗った壁ともしっくり馴染んでいます。
また、以前も収納だった場所を活用して、棚付きのリビング収納(写真右)に。65平米という広さの限られた住まいでは、デッドスペースの活用が暮らしの質を向上させるポイントになります。
既存利用と新設とをうまく組み合わせた家づくり
寝室は、壁紙を好みのブルーに貼り替えました。天井のランドリーハンガーはカワジュンのもので、「雨の日の室内干しとして活躍しています。冬場はそれが加湿器代わりにもなり、乾燥をしのげるんです」と妻。
水回りの内装は、「ちょっとモダンだけど清潔感があるのでよし、としました」とほとんど手を加えていません。入り口の扉のみ、ガラリ戸に交換して通気性を確保。
元々あったLDKに隣接する2部屋を取り払い、キッチンを中心とした広々LDKにしたことで、「家族全員で丸テーブルを囲む」という夢も実現しました。
物件探しを振り返って、「山手線の内側でありながら、落ち着いた雰囲気がある。自転車があればどこへでも行け、ふたりの職場まではそれぞれ20分ほど。満員電車のストレスとも無縁で、通勤のついでに保育園の送り迎えや買い物がこなせます。希望する小学校の学区内でもあり、就学前に慌てて引っ越さないですむのも、魅力のひとつでした」と夫妻は話してくれました。
設計・施工 空間社
撮影 遠藤 宏
※情報は「リライフプラスvol.17」取材時のものです