団地といえば、年季の入った建物だったり、建具のデザインがレトロだったりして、昭和なイメージがありますよね。団地の日本的な“古さ”をあえて生かし、モダンな団地スタイルに変貌させた、東京都世田谷区の団地に住むHさん一家。ご主人の実家で同居生活を送ったのち、自分たちの家を構えるためにリノベーションのできる物件を探していたHさん夫妻。物件価格は1850万円、工事費750万円(税・設計料込み)で和モダン空間にリノベしました。
すべての画像を見る(全4枚)緑いっぱい&子育て世代に優しいコミュニティがある「団地」
この団地に選んだ決め手のひとつは、ご主人の実家から自転車で10分、最寄り駅からも一本道という立地のよさ。予算や利便性、環境のよさのほか、年配の方が多くフレンドリーな雰囲気も魅力的だったそう。
「古さはまったく気にならなかったですね。団地にはたくさんの植物があるからいつも緑を感じることができるし、部屋の窓から敷地内の公園が見えるのもいいなあと思いました」と奥様。
団地は利便性と緑地の多さ、環境のよさを両立させてくれる存在なのです。
土間、障子、引き戸……「団地の趣」を和モダンにアレンジ
今回のリノベーションでは、“団地らしい“趣を残しつつも、現代の生活スタイルにあった快適な住まいへ変化させようと設計したそう。
たとえば玄関からリビングまでの廊下は土間仕様にし、建具をすべて開けると風が通るような作りに。
建具には布框戸(ぬのかまちど)という、透過性と軽やかさを併せ持った白い布地を使用。障子とふすまの間のようなもので、自由に張り替えが可能です。
障子が張られていた木枠には、メッシュ状の寒冷紗(かんれいしゃ)を張って再利用。 蚊帳や遮光ネットなどにも使われる寒冷紗は、寒さよけや日よけとして活躍する素材です。日本家屋らしい、木のぬくもりにあふれた住まいは、団地の温かな空気感にピッタリですね。「古くても、それを生かした家に住みたい」と考える人には、団地のレトロな雰囲気がマッチすることでしょう。
設計:藤田雄介(Camp Design inc.)
撮影:飯貝拓司
※情報は「リライフプラスvol.18」取材時のものです