寒暖差が激しい近頃は、疲れやだるさ、冷え、胃の不調、イライラなど心身のトラブルがよく起きます。
病院に行くほどではないけれど、なんとなく調子が悪い…と感じている人にぜひ取り入れてほしいのが「ゆる漢方」です。この時季に感じやすい身体の不調と、その対策を漢方専門家の櫻井大典さんに教わりました。

両手で頬を触る女性
肌のシミや乾燥が気になる時季。「補血食材」を食べるのが有効なんです(※写真はイメージです)
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体ととのう「ゆる漢方」。元気に過ごすための食事や習慣って?

漢方の「養生」の考え方で、心と体をととのえるのが「ゆる漢方」です。養生とは、その季節に合った食事や習慣で体調をととのえ、今も次の季節も元気に過ごすための「備える生き方」のこと。「無理せずゆるっと」が実践のコツです。

【お悩み1】胃の調子が悪く、食欲がない

原因:水分や冷たいもののとりすぎで胃腸に負担がかかっている

胃腸の不調や食欲不振の要因は、体の中に余分な湿気がたまること。
「漢方では、冷たいものや、生のものを『生冷食(せいれいしょく)』、油っこいもの、甘いもの、味の濃いものを『肥甘厚味(ひかんこうみ)』と言い、どちらもとりすぎると体に湿気がたまり、胃腸が弱るとされています」

対策1:「生冷食」「肥甘厚味」を控える
イラスト焼肉など

胃腸の調子をととのえるには上記の生冷食、肥甘厚味を控えるのが重要。

「甘い菓子パンと冷たいスムージーの朝食をとっていたり、スタミナをつけようと焼き肉などの油っこいものを食べると、胃腸が弱るので控えて」

対策2:さっぱりして胃に優しい温かなスープなどを食べる
イラストスープ

胃腸が弱ったときは、負担が少ないさっぱり味の温かいスープを。冬瓜、豚スペアリブはひと口大のぶつ切り、ショウガは薄切りに。これらと塩少しを鍋に入れ、水を材料が浸る程度に加え、ごく弱火で20分以上煮れば完成です。

「この時期なら、『冬瓜とスペアリブのスープ』がおすすめ。冬瓜が余分な水分を排出し、豚肉が気を補います。胃腸の機能をととのえるショウガも加えて」

【お悩み2】肌の乾燥・シミが気になる

原因:血の不足や流れの悪さにより、肌がうるおい不足に

肌の乾燥やシミも夏の終わりに気になるトラブル。
「肥甘厚味のとりすぎは肌荒れの要因に。また、血が不足した『血虚(けっきょ)』の状態だと、肌に栄養が届かず乾燥を招きます。血の巡りが悪い『瘀血(おけつ)』の状態だと、シミができやすくなります」

対策1:肌の乾燥には、ホウレンソウ、ニンジン、黒ゴマ、サバなどの「補血(ほけつ)食材」を

乾燥を防ぐには、不足した血を補って血虚を改善する「補血食材」を食べるのが有効。
「なかでも、ニンジンのような赤い食材や黒ゴマのような黒い食材は、よい血をつくるのに効果的。意識して取り入れましょう」

イラストニンジンホウレンソウなど

ほかにも牛肉、レバー、卵、アサリ、アナゴ、イカ、ウナギ、カキ、鮭、タコ、タラ、ブリ、マグロ、枝豆、黒豆、シメジ、キクラゲ、ヒジキ、ライチ など。

対策2:シミを薄くするには、こんにゃく、タマネギ、鮭、サンマなどの「活血食材」がおすすめ

血の巡りをよくする「活血食材」を毎日の食事に取り入れて瘀血(おけつ)の改善を。
「おすすめは、腸内の老廃物を排出する働きもある、こんにゃく。煮物や、格子状に切り込みを入れ、一度ゆでてから焼き、ステーキにしても」

イラストタマネギやサケなど

ほかにもサバ、イワシ、クレソン、チンゲンサイ、ナス、ニラ、バジル、パセリ、ミョウガ、モロヘイヤ、黒豆、納豆、グレープフルーツ、クランベリー、プルーン、桃、酢、甘酒 など。

【お悩み3】頭痛がする

原因:季節の変わり目に多い「天気痛」かもしれません

夏の終わりの頭痛は、天気痛の可能性が。
「天気痛は、気圧が下がることで、体の表面にかかる圧力が下がって体がむくみ、細胞が圧迫されて起こります。これが脳で起こると頭痛に。体に余分な水がたまり、水はけが悪いと起きやすいので要注意です」

対策:水分補給は食べ物の水分で
イラスト食事する女性

水を1日に2~3Lも飲んでいる人がいますがこれはNG。

「水分は食べ物にも含まれているので、それ以外に2~3Lは飲みすぎ。水はけの悪い体になって頭痛の原因になります。水は飲みすぎず、葉物野菜や果物など水分が多い食材から、食べて補うことを心がけましょう」