季節の変わり目には、疲れやだるさ、冷え、胃の不調、イライラなど心身のトラブルが起きがち。そんな不調を改善してくれると、近頃話題になっているのが「ゆる漢方」。毎日無理なく気軽にできる方法で、夏から引きずった疲れを吹き飛ばしましょう!
すべての画像を見る(全8枚)季節の変わり目の疲れに…。体ととのう「ゆる」漢方
漢方の「養生」の考え方で、心と体をととのえるのが「ゆる漢方」です。養生とは、その季節に合った食事や習慣で体調をととのえ、今も次の季節も元気に過ごすための「備える生き方」のこと。「無理せずゆるっと」が実践のコツです。
●夏疲れ改善の初めの一歩は、体に余分な湿気をためないこと
「季節の変わり目に起こる不調の大きな原因は、じつは『湿気』です」と漢方師の櫻井大典さん。夏から秋の変わり目は、湿度が高い時季。適度な水分補給は大事ですが、過度な水分や、冷たい飲食物、生もの、オクラなどのようなネバネバした食品をとりすぎていると、体の中に余分な湿気がたまってしまいます。
「漢方では、胃腸は乾燥を好むとされ、体に湿気がたまると胃腸が弱るといわれています。これが要因となり、だるさや疲れ、冷え、やる気のなさなどのさまざまな不調が起きるのです」
改善のために櫻井さんが教えてくれたのが、ゆるっと気軽に取り組める“ゆる漢方”。
「夏疲れ改善のポイントは、体に湿気をためる飲食物を避けること。それに加えて、自分の不調に合ったゆる漢方の養生法を、日々の食事やちょっとした習慣に取り入れてみてください。完璧でなくもOK。できるところからゆるっと実践しましょう」
●<Check!>体に余分な湿気がたまっているかどうかは、舌でわかる!
自分の舌を鏡で見てみましょう。舌全体に白い汚れ「舌苔(ぜったい)」が分厚くついていたら、体に湿気がたまっているサイン。さらに、舌が大きく膨らみ、縁に歯形がついていることも。
元気がでる!体のお悩み別・ゆる漢方
まずは、だるさ・疲れ、冷え、胃の不調など体の不調別に、効果的なゆる漢方をご紹介。予防として取り入れるのもおすすめです。
【お悩み1】体がだるくて疲れがとれません
原因:「気」が不足しています。食べ物や生活習慣で補って体に湿気がたまると胃腸が弱りますが、胃腸は体のエネルギーをつくる場所なので、弱ると疲れやだるさの原因に。
「また、汗のかきすぎ、睡眠不足などで気が消耗すると、気が不足した“気虚(ききょ)”という状態になり、これも疲れを招きます」
気を補う効果がある食品を積極的に食べるのがおすすめ。
「気を補う肉や魚介は、食べると速やかに気を充実させる働きがあります。手軽な水炊きなどで、野菜をたっぷり加えて食べましょう。味つけはあっさり優しい味に」
ほかにも豚肉、牛肉、イワシ、鮭、サバ、ウナギ、エビ、タコ、米、大麦、もち米、ジャガイモ、山イモ、大豆、カブ、カボチャ、キクラゲ、シイタケ、マイタケ、アボカドなど。
対策2:太陽の光を浴びて深呼吸をする気を補うには日光浴と深呼吸が最適。
「太陽は気の集合体なので、日光浴をすると気を体に取り込むことができます。また、深呼吸も気を取り込むのに効果的。息を吐ききり、吸った空気が骨盤内に満ちるイメージでよい気を取り込んで」
【お悩み2】体が冷えてつらい
原因:冷たい飲食物やエアコンで体の内外から冷えた状態にエアコンの中で薄着でいることが、夏冷えの大きな要因。
「さらに、水分や冷たい飲食物、生ものなど、体を冷やすもののとりすぎも冷えの原因に。一日じゅうエアコンの中にいるのは避け、ときどき日光浴をして体を冷やす飲食物を控えることが大切」
冷え予防にと、常温の飲み物を選んでいる人もいるかもしれませんが、じつは常温もベストではありません。
「常温でも体温より低く、体にとっては冷たいものです。冷える人は体温より高い温度のものを食べたり、飲んだりしましょう」
対策2:湯船につかって軽く発汗を。でも、長風呂はNG!適度な発汗は冷え解消になるため、入浴は湯船につかりましょう。
「ただし、長風呂をすると体が疲れてしまうので、軽く発汗する程度に。時間がないときは湯船内でシャワーを浴びましょう。次第にお湯がたまり足湯効果が得られます」
対策3:甘味屋さん方式で冷たいものを食べたら、温かいお茶でリセットアイスなどの冷たいものや甘いものは、体を冷やすので、できれば避けたいもの。
「どうしても食べたいときは、最後に温かいお茶が出てくる甘味屋さんをまねて、温かい飲み物で締めましょう。これだけでも冷えのリセットになります」