50代でスペインに単身留学中のRitaさんが感じた、自然体に生きるスペイン人の生き方をレポートします。日本にいた頃は、「遅刻をせず丁寧に振る舞い、人間関係は角を立てないなど、ちゃんとしている人が“大人”だと思っていましたが、スペインで暮らして変わりました」と話すRitaさんが、考えが変わったの理由と気づきについて語ります。

スペイン
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大人って「ちゃんとしている人」のこと?

「大人って、なんだろう?」

私はずっと、「ちゃんとしている人」のことだと思っていました。人に迷惑をかけず、空気を読んで、責任感をもって、我慢もできる。それが「大人」として正しい生き方なのだと、ずっと信じていたんです。

でも、スペインに来て3年。その思い込みは、少しずつほぐれていきました。大人だからこそ、自分の心を大切にしていい。大人だからこそ、自由を楽しめる。そんなスペインの「自然体の大人たち」を見て、私は、大人を真新しい視点で見るようになってきました。

日本で信じてきた「大人像」

私が長く心にもっていた大人の条件は、「ちゃんとすること」でした。職場では遅刻をしない、丁寧に振る舞う、人間関係は角を立てずに…ときには自分の気持ちを押し込んででも、周囲に合わせることが「正解」だと思っていたんです。

実際、そうすることで評価してもらえたこともありましたし、なにより自分自身が「安心できる場所」にいられる気がしていました。

でも、本当に心が満たされていたかというと、そうではなかった気がします。いい大人であろうとするあまり、いつの間にか「私って、どんな人間だったっけ?」と、自分の輪郭があいまいになっていく感覚がありました。

ちゃんとすることは、決して悪いことじゃない。でも、「それしか選べない」のは、少し息苦しい。

スペインに来て初めて、「ちゃんとしなくても愛される大人たち」をたくさん見ました。「ちゃんとしなくても」という表現は、少し違うかもしれません…。「ちゃんとすることは、人それぞれの形がある」こちらの言い方が正しいかもしれません。

だれかの基準に合わせなくても、自分のスタイルを大切にしている人たちは、ちゃんと大人として尊敬され、ちゃんと愛されている。そんな姿に出会い、「大人って、どうあるべきか?」という答えが、少しずつ見えてきました。