健康を保つためには、身体だけではなく「心」に気をつかうことも大切ですよね。自分で自分の機嫌をとるために、「ある言葉」を意識的に使うようになった、と語るのは著述家の中道あんさん。現在60代で、3人の子どもも成人し、ひとり暮らしをしている中道さんが、日々を心身ともにすこやかに送るために実践している習慣について、教えてもらいました。

中道あんさん
中道あんさん
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健康でいるために、心のバランスを保つ

年を重ねるからこそわかる「健康」の大切さ。とくに、50代以降は、更年期によるゆらぎや、体力の低下をひしひしと感じます。周りでも、散歩を日課にする人、ジムに通う人などが増え始め、軽い運動を習慣にしている人が増えました。

けれど、体は心とつながっているもの。日々の生活のなかで、心のバランスを保つことも大事だと思います。そのためには、自分の機嫌は自分でとっていく「ご機嫌法」をもっているといいですね。

おすすめは「ありがとう」を口に出す習慣にすることです。イラっとしても、不機嫌でも、あえて「ありがとう」と言葉にすれば、気持ちがリセットされる。不機嫌をまき散らさないコツではないかと思うのです。

イライラをしずめるために「ありがとう」

たとえば、私はせっかちなので、レジに並んでいるうちにイライラしてきちゃうことが多々あります。私は、カードかスマホ決済ですが、前の人が小銭をこまごまと財布から出していたりすると、まどろっこしいなと思ってしまいます。

でも、これってだれも悪くはない。ただ自分の思うとおりにことが運んでいないだけのことです。

このイライラを鎮める方法は、レジで店員さんに、はっきりと「ありがとう」と言うことです。「ありがとう」と言われて不機嫌になる人はいません。不思議なもので、「ありがとう」と言うだけで気分がいいように変わるのです。

感謝の言葉を発することで、脳内でセロトニンやドーパミンなどの幸せホルモンが分泌されるそうです。

つまり、言葉が脳に直接的に働きかけ、感情のきり替えスイッチが入るというもの。

これは仕事の上でも役に立ちます。

相手に言いにくいことを伝えなければならないときってありますよね。そういう場合も、「○○さんにはいつも助けていただいて、ありがとう」とか「お願いした件、対応してくれてありがとう」と先に感謝を伝えておけば、相手は気持ちよく、続きの言葉を建設的に受け取ってもらいやすいです。

そして自分も感情が先に走らなくてすみます。

たとえば、夫のちょっとした行動にイラッとしても、まずは一応「ありがとう」と言ってみる。

本心から思っていなくてもいいんです。そうすると相手もギクシャクせずにすみ、自分の心も落ち着きます。できれば、ためしに一度やってみてください。回数を重ねるほど効果を感じると思いますよ。