気づけばいつも仕事、家事、育児に追われて、やりたかったことをなにもやれていない…そんな悩みを抱えている人は少なくないのではないでしょうか。今回は、時間と片付けについて発信を続けている下村志保美さんに、家事の時間と手間を減らすためのコツを教えてもらいました。
時間がない人こそ、家事の「すべき」を手放す勇気をもってみる
私たちがもっと時間を豊かに使うために意識したいことがあります。それは、知らない間に刷り込まれてきた、片付けや家事に対する「~すべき」という考え方のクセを手放すことです。
・家事は母親である自分がやるべき
・育児&介護も人に迷惑をかけずに自分がやるべき
とくに私たちがこだわりやすいのは、この2つではないでしょうか。
夫や子どもたちに比べると、家事は私のほうが手際よくできる。だから自分1人でやったほうが早い。女性の多くは、ついそう思ってしまいがちです。
とくに昭和~平成初期に生まれて、家事をこまめにやっていた母親を見ていた方ほど、陥りやすい思い込みかもしれません。「家事は自分がやればタダだから」という価値観を刷り込まれて育った方もいるでしょう。結果的に、家事を1人で抱え込み、夫や子どもたちにイライラ…。
その思い込み、手放してしまいましょう!
家事は手間と時間がかかるもの。タダではないんです。
家を整えるには時間とお金がかかる
ここで私の経験をお話しさせてください。以前、家事代行サービスにお風呂の掃除をお願いしたことがありました。バスルーム全体をピカピカにしていただいた分の料金は、約2万円。
掃除が終わり、支払いをしているときに、たまたま家にいた夫が近くを通りかかり、金額が耳に入ったようです。
「風呂掃除って、人にお願いしたら2万円もお金がかかるの?」。夫は相当驚いたようで、その日から彼は、バスルームの鏡をキレイにふくようになりました(笑)。
これは偶然、家族の中の1人が「家事は無料じゃない」と気づいた例ですが、あまりにも1人で抱え込みすぎていると、家を整えるには時間とお金がかかる、という当たり前のことが、共有されづらいものです。
「でも、“家事シェア”とか言うけれども、実際には分担が難しくて…」と思われた方は、「家事は完璧にこなすべき」という思考を捨ててください。
たとえばお子さんが中高生の場合。もう、スーパーで簡単な買い物ぐらいはお願いできる年齢ですよね。さらにネットスーパーだったら、受け取ってもらうだけ。「受け取ったものを冷蔵庫に入れておいて」とお願いする。
ここでのポイントは、「冷蔵庫に入れてくれればOK」とすること。
「野菜は野菜室に入れて」、「肉の置き場所はここ」、「ストックしてあるものと買ってきたものを混ぜないで」など、“冷蔵庫の整理”までは頼まないでおきましょう。
お風呂掃除も同じ。「洗剤をシュッとひと吹きしてくれればいいよ」など、家族みんなが、家事に参加するハードルを下げてしまうのです。そうすることで、「ママの仕事」と思われているものを、どんどん減らしていきましょう。