防災で必要なのは、ものの備えだけではありません。「もしも」のことを家族で話し合い、どう行動するかを決めておくのも防災対策になります。そこで、家族で生きのびるための知識やチェックリスト、事前に共有したいアプリをご紹介。国内外30件以上の被災地で医療支援を行ってきた、国際災害レスキューナースの辻直美さんに教えてもらいました。
すべての画像を見る(全6枚)リーダーシップをとるキーパーソンを決めておく
地震にしろ、水害にしろ、災害が起きたとき、家族全員が一緒にいるとは限りません。別々に被災することも想定を。辻さんも「あらかじめ、『災害が起きたらどう行動するか』を家族で話し合っておくことはとても大切」と言います。
決めておくべきことは、たくさんあります。たとえば、情報収集の手段。「うちはYahoo!防災速報」などと決めておけば、家族で行動の基準が統一されます。そのほか、地震や水害でどのタイミングでどこに逃げるか、バラバラに被災した場合はどう連絡を取るのか、どこで落ち合うのか、スマホが使えないときはどうするか、などなど。具体的なシチュエーションを想定しながら、さまざまなリスクに対して対策を決めておくと安心だそう。
「家族のなかで災害時にリーダーシップをとる“キーパーソン”を決めておくといいですよ。多くの場合、被災下では女性の方が肝が据わります。お子さんがいる場合、母親がキーパーソンになるのが現実的。『自分が子どもの命を守る!』と覚悟を決めましょう」(辻さん、以下同)
災害前後にやることチェックリスト
災害が起こる前の対策や、起こったあとの対処方法をリストアップ。自分だけでなく、家族の命を守るためにもチェックしておきましょう。
●災害前
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・寝る前だけは片付けをする
・飛んだら危険なものは使ったらしまう
・高い位置にある重いもの・割れ物を低い位置に
・お酒は置きっぱなしにしない
・扉はあけっぱなしにしない
・廊下にものを置かない
・玄関の整理整頓をする
・靴は玄関に各自1足だけ出しておく
災害が起こる前に、家の中を360度見回して、「危ない」と感じたものがあれば対策を。高いところにある重いものや引火リスクのあるお酒を下におろし、家具の転倒防止策を。逃げる際に邪魔になるものは片付けて。どの靴を履こうかという一瞬の迷いが命取りになるので、靴はしまうこと。
●災害後
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・揺れが収まったら玄関ドアがあくか確認
・窓があくか確認
・家の中と外の損壊状態をチェック
・停電したら、燃えそうなものを片付ける
・ブレーカーを落とす
・防災リュックを出す
・清潔な容器に水をためる
・地域密着型のラジオで情報を収集
・家族に連絡を取る
地震が起こった際は、揺れが収まったら避難経路を確保し、家の損壊状態をチェック。窓があかないということは、家そのものがゆがんでいる可能性があります。窓があくかは必ず確認して。
在宅避難にするか、避難所に行くかを冷静に判断し、情報収集と家族の安否確認も行いましょう。