50歳で「住み替え」を選んだ、イラストレーターの柿崎こうこさん(54歳)の実例を紹介します。50代を前にして体調や心境の変化、家族の問題などを経験し、独身・フリーランスという心もとない状況に不安を感じていた柿崎さん。そこで、暮らし方を見直すことを決意。都内から少し郊外へ移住し、固定費を下げながら幸福度を保つ新しい生活をスタートしました。その過程で得た気づきをレポートしてくれました。

家の内装
40代に入ってすぐの頃、離婚後に住んだ家
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48歳、独身、フリーランス。都内のマンション住まいに不安が…

世田谷の家の写真
この家、この街に住みたいと一目惚れした38平米の世田谷の家。『50歳からの私らしい暮らし方』(エクスナレッジ刊)より撮影:濱津和貴

2020年3月。長く暮らした東京都内から少し郊外の横浜市内へ、引っ越しをして100%満足しています。思えば、あのときがベストなタイミングでした。

40代半ばから暮らし始めた東京・世田谷の築浅の賃貸マンションは、さほど広くない1LDKにしては家賃もそれなりでしたが、都心へのアクセスもよく、とにかく快適でした。

暮らし始めた頃は、これから仕事をもうひとがんばりするぞ! と前向きな気持ちでした。ところが、住み始めて数年。今思えば更年期の揺らぎも影響していたのだと思いますが、迫る50代を不安に思い、あせり、悶々とする時間が増えていきました。

不安材料を整理して、住み替えのビジョンが見えてきた

どんな仕事でもそうですが、ずっと続けられる保証はどこにもありません。

「今後もこの家賃を払い続けられる?」「この高い家賃でもこの家に住み続けたい?」

また、止むを得ず仕事ができなくなったとき、当面安心して暮らせる蓄えが十分でないことも不安でした。

蓄えるスピードを上げるにも、家賃をはじめとした固定費が大きく、思うように進まないことが焦りを加速させていました。

このように、不安の元を明確にすることで現実を受け入れられるように。そして、次のビジョンが見えてきました。さらに、これを機に思い描いていたことも叶えることにしました。

●次の暮らし方の3つのビジョン

・引っ越しをして固定費を下げる

・下げた固定費分を将来の蓄えに回す

・猫との暮らしを実現する