この春、高齢の両親の住み替えを経験した方の実例を紹介します。50代でESSEonlineライターのフネさんの両親、86歳の父親と78歳の母親は30年間暮らした郊外の一軒家を離れ、駅近マンションへ引っ越し。 新しい一歩を踏み出すまでの道のりと、その決断に至った理由をレポートしてくれました。

引っ越し前の一軒家
片付けは多分ほとんど母
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決断は突然に!思いのつまった家を売ることに

「家を売ろうと思うのよ」そう聞いたのは1月。思いのつまった注文住宅、一緒に私も壁紙を選んだのを覚えています。

「母がひとりになったらいずれは」とは思っていたものの、予想外のタイミングでびっくり。

実際、父も「正月にはなにも考えていなかった」そうです。というのも私はお正月に、玄関のガラスにはる防犯フィルムを頼まれてAmazonで購入したところだったからです。

一軒家を手放すことにした主な理由3つ

主な理由は次のとおり。

・冬の冷え込みが年々こたえる

・高齢者を狙った強盗事件の報道で防犯が心配

・父に引き続き母もクルマの運転を卒業したかった

今の家に越してきたのは、阪神淡路大震災後の1995年でした。豊かな自然に囲まれ、整備された広い道路、2人の趣味を叶えるゴルフ場も陶芸の里も近くにある理想的な環境。

でも、年齢とともに「住みにくさ」が目立ってきたのです。買い物もクルマがないと不便でした。

なによりいちばんこたえたのは「寒さ」。広い一軒家はリビングと玄関の気温差がひどく、私も心配でした。電気代も高くなり暖房費もバカにならない時代。

両親は、冬にひとり暮らしになった叔母が住むマンションを訪ねたときに「こんなに暖かいのか!」とびっくりしたそうです。