画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。ここでは、小笠原さんが毎日を楽しむために取り入れている、料理や掃除の工夫について語ります。
すべての画像を見る(全5枚)ひとりだからこそ、暮らしのルーティンは自由でいい
65歳で年金生活者になったとき、私は今後の日常生活を自分本位に工夫をして暮らすことを仕事と決めました。75歳になった今も、そんな自分流の暮らし方を楽しみながら生活しています。
ひとり暮らしですから、衣食住に関する思いつきを、自由に暮らしのなかに取り入れてみたり、それを変えたりすることができます。
たとえば、三度の食事を私は欠かしませんが、朝食と昼食に重きをおき、夕飯を軽くする習慣を身につけました。
夕飯は、その日に摂取した栄養素をざっと思い返して、不足した栄養分をなるべく補いながらも、残りものや、できあいの総菜などで済ませます。ほとんど火を使わない夕飯です。
家事は「朝のうちにすませる」方が気分良好
また私は、朝のうちにその日にすべきおもな家事をすませるようにしています。「明日でいいや」と先延ばしすると、かえってストレスになるからです。
ちゃっちゃっと片付けていくほうが、結果的に気分良好なのです。というわけで、夕方は心身ともにのんびりしたい、つまり夕飯の支度には時間をとりたくないのです。
片付けるのも一皿くらいなら簡単です。火を使わなければお鍋もフライパンも洗う必要はなし。のんびり好きなことをして好きな時間を過ごします。音楽を聴くもよし、ストレッチもよし、アロマバスもいいじゃありませんか。
そして就寝時、寝つくまで「明日はなにをしよう?」と考えます。掃除や洗濯や風呂洗いも大事ですが、そういう決まりきった家事以外に、なにかひとつでも「おもしろい」ことをしようと考えるのです。
たとえば縦長の棚を横倒しにして、本棚のガラス戸を全部外してしまおうとか。また明日の朝食は、プルーンのクラッカーサンドにしてみよう。
明日こそあの香りのいい化粧水の封を切って使ってみよう、など。ひとつでもいい、すごく小さなことでもいい。その画像を頭に浮かべてから眠ると、私は翌朝起きるのが楽しみになります。