ひとりは「寂しくない」

いつからか、好きなアーティストのコンサートも、演劇も、お笑いライブもひとりで行くようになった。

友人から「よくひとりで行けるよね。寂しくない?」と素朴な疑問として聞かれたことがあるが、不思議と最初から抵抗がなかった。趣味や日程が合う人がいなかったから、ひとりで行くようになっただけだ。

しかし、慣れてくると、むしろひとりのほうがいいとさえ思うのだ。

行きたいと思ったら、自分だけで決められる。人と待ち合わせて、食事はどうする? グッズ販売に並ぶ? などと細かいスケジュールを考えなくてもいい。

そして、これがいちばん大きいのだが、同行者の目を気にせず、その世界にどっぷりはまり、感動にひたったり、盛り上がったりすることができる。

一緒に行く人がいると、性格や熱量の違いで、盛り上がり方にも差が生まれる。ライブでこちらが最初からわーっと立ち上がっても、隣で座ったままだと、なんとなく気になってしまう。きっと相手だってそうだろう。

数年前のクラシックコンサートでは、隣り合った女性と仲よくなり、いまでは家に泊まりに行くほどの親友になっている。「袖振り合うも他生の縁」で、ひとり旅では、前世からの深い縁があったのではないかと思うほどの出会いがしばしば起こるのだ。

コンサートや演劇、講演会、トークショーなど、ひとりで楽しめるエンターテインメントはいくらでもある。娯楽施設であれば家族連れの多いテーマパークではなく、美術館、企画展、歴史資料館などその世界にひとりでひたれるものがいい。

行きたいと思ったら、ひとりで気軽に行こう。ひとりだからこそ、純粋に好きなものを好きだと思い行動できるのだ。

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